首都圏の駅で初 「斜め」エレベーターに乗ってみた 新感覚「上階の乗降口が近づいてくる!」
上下ならぬ「斜め」に移動するエレベーターが、東京メトロの赤坂見附駅と永田町駅を結ぶ通路に設置されました。首都圏の鉄道駅では初というこのエレベーターに、供用開始当日に乗ってみました。
ケーブルカー? スロープカー? いや紛れもなく「エレベーター」
2021年7月10日、東京メトロ銀座線・丸ノ内線の赤坂見附駅と有楽町線・半蔵門線・南北線の永田町駅を結ぶ連絡通路に、「斜行エレベーター」が設置されました。
エレベーターは一般的に、上下に移動するものですが、「斜行エレベーター」は文字通り「斜め」に移動します。日本では傾斜地の住宅や商業施設などでいくつか見られるものの、首都圏の鉄道駅に設置されるのは初めて。どのようなものなのか乗ってみました。
斜行エレベーターは地下3階と地下2階を結んでいます。入口は一般的なエレベーターと変わりなく、ドア横の行先ボタンを押し到着を待ちます。ドアが開き乗り込みますが、内部も特に一般的なエレベーターとは相違ありません。
ドアが閉まり、エレベーターは動き出します。速度はかなりゆっくりで、振動などは一切感じず、乗り心地も一般的なエレベーターと変わりません。ただ、エレベーターはガラス張りになっており、地下3階から乗ると、ガラス越しで上方に見える地下2階の乗降口が、だんだんと近づいてくるのです。確かに「斜め」に動いている、そう感じる瞬間でした。
斜めに動いている様は、短いケーブルカーのよう。並行する階段からその構造が見られるのですが、壁に設けられたレールに搬器を噛ませる形で稼働していました。
地下2階へ到着し、ドアが閉まってから開くまでの時間を計測したところ、32秒でした。ちなみに並行する階段を使って上ると、大人の足で18秒でした。
乗ったのは供用開始した当日でしたが、行き交う人々は物珍しそうに眺めていました。下校途中と思われる女子生徒は、友達とエレベーターバックに自撮りをしていたほか、観光客と思しき外国人の親子は「Amazing!!」と興奮気味に話していました。
東京メトロによると、今回はエレベーターの設置にあたって既存空間を活用したため、掘削工事を行うことなく整備が可能だったといいます。また、車いす利用者が赤坂見附駅と永田町駅を行き来する場合、従来は通常の上下に移動するエレベーターと、階段脇に設置された昇降機を使わなければなりませんでした。昇降機利用には駅係員の介助が必要です。「斜行エレベーター」はこの課題も解消したといえそうです。
【了】
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