激レア「消防バキュームカー」一体なにを“吸う”? 日本唯一の消防車が東京に配備されるまで

ひょっとしたら全国各地に派遣されるかも

 2023年7月現在は1台しかない工作車(強力吸引車)ですが、導入のきっかけは2021年7月に起きた熱海市伊豆山土石流災害だといいます。

 大雨によって発生した大規模な土石流によって、死者28名、負傷者3名を出したこの災害に、東京消防庁も緊急消防援助隊として人員を派出。泥濘やがれきで覆われた被災地において、派遣された隊員たちは文字通り泥だらけになりながら、土砂を少しずつ取り除きつつ行方不明者の捜索などにあたりました。

 そういった経験から、翌2022年度予算で調達され、今年(2023年)3月に現場部隊に配備されました。なお、当初は「土砂吸引車」(仮称)と呼ばれていましたが、のちに東京消防庁の公式ホームページなどで画像と共に正式名称が披露されています。

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東京消防庁の工作車(強力吸引車)の後ろ姿。2023年7月現在、日本唯一の消防車両(乗りものニュース編集部撮影)。

 東京消防庁の説明によると、同車は全長7.50m、全幅2.39m、全高2.87m、車両総重量1万3375kgで乗員は3名です。最大積載量は4710kg、このうち泥濘や土砂などを収容するための汚泥タンクは最大積載量4160kg、最大積載容積3200リットルあり、このほかに容量200リットル(200kg)の水槽も搭載しているため、これを使って瓦礫を押し流したり、洗浄したりすることも可能です。なお、残り350kgは各種資器材で、その中に含まれる吸引ホースは最大100mまで伸ばせるといいます。

 ホースを積載した姿は、さながら「真っ赤なバキュームカー」といった感じですが、消防車両として緊急走行が可能なよう、赤色灯やサイレンは完備しています。

 過去の教訓から東京消防庁が初めて導入した工作車(強力吸引車)。全国唯一の車両のため、今後は緊急消防援助隊の一員として全国の被災地で活動する可能性もあると思われます。

 ただ、この車両が活躍するときは、逆にいうとその地域が大規模災害に遭っているという証左です。はしご車などと同じく、活躍せずに済めばそれに越したことはないでしょう。

【了】

【隊員も胴長姿!】「工作車(強力吸引車)」の活動の様子をイッキ見(写真)

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