「多くの学生を一挙に教育」海上保安庁25年ぶり新練習船が誕生 “離島警備”想定のマンモス仕様!

船名は配備先の名所に由来

 外観で特徴的なのは上下2段に分かれたブリッジで、上部は航海船橋、下部は航海実習などの教育で学生らが使用する実習船橋となっています。これは、短期間で効果的に乗船実習を実施できるよう設けられた設備で、双方の船橋とも同じ航海計器が据え付けられており、両方で操船することが可能です。

 従来は航海船橋に学生らも混ざって教育・実習を受けていましたが、通常の業務を行っている航海船橋と実習船橋を分けることで、航行中でも多数の学生・研修生が操船方法などを学ぶことができるようになります。さらにこれまで安全運航の都合上できなかった火災など緊急時の対応訓練にも、実習船橋は活用できます。

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既存の練習船「こじま」(画像:海上保安庁)。

 このほか練習船の設備として訓練業務統括区画や通信科演習室、機関科演習区画が設けられているうえ、船尾側には船内で授業を行うための学生教室や、外国の港を訪問した際にレセプションなどを行える多目的室が置かれており、通常の巡視船に比べて船室が多くなっています。

 加えて災害発生時などは緊急的に海上保安業務へ従事することを想定し、耐航性、動揺安定性、長期行動能力に優れた設計を取り入れています。

 武装は、目標追尾型遠隔操縦機能(RFS)を備える20mm機関砲1基と13mm機銃1基を装備。ブリッジ側面には停船命令等表示装置を備えるほか、高速警備救難艇4隻や救命艇2隻を搭載します。推進器はプロペラだけでなく、細かい操船が可能なバウスラスターも装備しています。

 ちなみに、船名は広島の著名な観光地である厳島(いつくしま)にちなんで名付けられたそうです。これは同船の運用上の拠点となる海上保安大学校が、広島県の呉市にあることに由来します。

「いつくしま」は就役後、世界一周の遠洋航海などで日本の代表として各国を巡ることになるため、国際的に有名な地名にちなんだ模様です。

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