水素+二酸化炭素=「人工メタン」 国内初の大規模製造拠点を大阪湾に ガス器具そのまま利用OK
水素を運ぶのがカギに。
「e-メタン」製造拠点を大阪に
大阪ガスとENEOSは2023年8月29日、大阪港湾部におけるグリーン水素を活用した国内初となる国産「e-メタン」の大規模製造に関する共同検討を開始したと発表しました。
都市ガスのカーボンニュートラルへの移行を見据えた取り組みです。水素とCO2(二酸化炭素)を組み合わせて人工の「e-メタン」を生成するもので、2030年までに大阪港湾部で6000万立方メートル/年(一般家庭約25万戸相当)規模での製造設備の構築と製造開始を目指すといいます。
製造工程はこうです。まず海外において再生可能エネルギー等で製造したグリーン水素を、水素キャリア(水素ガスを扱いやすい物質に変換したもの)の一種であるメチルシクロヘキサン(MCH。水素+トルエン)に変換して輸送。そこから水素を取り出し、国内で回収した二酸化炭素と組み合わせてe-メタンを製造します。
水素をe-メタンに変換することは、発電分野、モビリティ分野などで水素利用に関する検討が進んでいるなか、水素の普及を拡大させ、水素社会の実現に寄与するといいます。また、e-メタンは既存の都市ガスインフラや消費機器をそのまま活用可能で、社会コストを抑制しながらカーボンニュートラルへの移行を円滑に進めることができるとのこと。国内の産業界から排出される二酸化炭素のリサイクルや、エネルギー安定供給にも貢献するということです。
2023年現在、産業過程から排出される二酸化炭素を回収し、液化して輸送する船舶については、すでに三菱造船が実証実験船の建造を進めています。一方で商船三井は、船内で水素やMCHを作り出し、MCHを運搬したり、そこから取り出した水素を燃料にして航行したりする船を開発しています。
それらをさらに人工のメタンにして、家庭でも利用できる形への道筋を示したのが、今回の発表といえます。大阪ガスとENEOSは「国産e-メタンの大規模製造設備を構築し、カーボンニュートラルとエネルギー安定供給の早期実現に向けて取り組んでまいります」としています。
【了】
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