成田闘争から半世紀“時代は変わった!”と心底思える 「日本一高い管制塔」ができる、その場所

成田空港に将来、国内で最も高い新管制塔が建設される予定です。この建設地とされているのは、「初代管制塔の跡地」。この場所は、同空港の激動の歴史を背景とした特殊な経緯をもっています。

2代目にバトンを渡した初代管制塔、その後は?

 初代管制塔はその後、上階を国の管制官が使い、下の階を新東京国際空港公団(現成田国際空港)の職員が地上走行する航空機と交信する「ランプコントロール」方式とし、2者が使い分けてきました。その後1993年、同空港には高さ87.3mの2代目管制塔ができ、管制官はそちらに移ることになります。

 2代目が使われだした後の初代管制塔は、ランプコントロールのみを行う「ランプタワー」として2020年まで使用。その後のランプコントロール業務は、新たに2代目管制塔の横にできた「ランプセントラルタワー」で実施されています。なお、「ランプタワー」と管制塔を使って、空港内の行き交う航空機を違う組織の担当者が誘導するというのは、成田空港特有のオペレーションのひとつとして知られています。

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現在の「ランプセントラルタワー」から見た成田空港(乗りものニュース編集部撮影)。

 初代管制塔が占拠された激動の日々から遠く過ぎた日に、筆者は取材で初代の管制室に入る機会がありました。千葉県九十九里町や横芝光町の沖まで一望できる高所で、反対派がいきなりなだれ込み、管制官が屋上に逃げ出した事件の激しさが想像できました。

 もちろん、占拠の痕跡などはなく、室内は交信のみが聞こえる静けさで、交信で喉が渇くために当番の勤務者が個々で用意した飲料水入りのペットボトルが目につく程度でした。それよりも印象的だったのは、役割分担が決められつつ「色々なところへ気を配る調整能力がある人が求められます」との、空港機能の維持へ最新の注意を払うランプコントローラーの言葉でした。

 この管制塔こと旧「ランプタワー」の跡地に建てられる新管制塔は、国内でもっとも高い約120mになると計画されています。初代と異なり、2代目はこのままいけば波乱もなくバトンタッチができそうです。そして、3代目もつつがなく使われてほしいと願います。

【了】

【えっ…これが成田空港「新管制塔」の位置です】

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飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。

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