「核ミサイル撃てる潜水艦」酷使でヘロヘロ状態!? 批判殺到も休ませられない理由とは
かなりの過密スケジュール。
原潜の半分が稼働してない!
イギリス海軍の核戦力を担うヴァンガード級原子力潜水艦が2023年9月11日、かなり“ヘロヘロ”な姿で本国に帰ってきたことが話題となっています。
今回“ヘロヘロ”な状態で目撃されたのは、イギリス海軍の保有するヴァンガード級潜水艦のうちの「ヴィジラント」か「ヴェンジェンス」のどちらかになり、その船体は藻やフジツボによって白や緑に変色していました。
こうなってしまった理由は、イギリス海軍の原子力潜水艦の稼働率に問題があるようです。同級原子力潜水艦をイギリス海軍は4隻保有していますが、ネームシップの「ヴァンガード」は7年以上にわたる修理でようやく2024年に復帰するめどが立ち、「ビクトリアス」は2022年に火災事故を起こし修理中の状態にあります。
数の不足を補うため、「ヴィジラント」及び「ヴェンジェンス」は、本来は60~70日であるところを、150日を超える長期間に渡り、遠洋でのパトロール任務に就くケースが増えています。今回の航海では約195日間を洋上での任務に費やしたようで、これは英国海軍の潜水艦史上でもかなり長い記録になるようです。
イギリス海軍は、ほかにアスチュート級原子力潜水艦を5隻保有していますが、こちらは対艦用の攻撃型原子力潜水艦で、ヴァンガード級のような潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射能力は備えていないため、任務を代わることは不可能です。一応、ヴァンガード級の後継艦としてドレッドノート級原子力潜水艦が建造中ではありますが、就役は2030年頃になるとみられています。
そのため、イギリス本国では艦そのものの状態悪化に関する懸念のほか、長期間の航海が乗組員の規律や士気、心理的な健康に与える影響が強いと批判されています。特に、同級潜水艦は動力が原子力のうえ核ミサイルも扱っているということで、乗務員の心身の疲労増大は、“破滅的な危険性をはらんでいる”と評すメディアもあるようです。
【了】
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