史上最大の砲を積んだ「列車砲」その絶大な火力 でも「活躍たった1回」だったワケ

歴史上もっとも大口径の火砲が据え付けられたのは列車でした。その威力は1発で要塞を吹き飛ばすほどでしたが、様々な理由で活躍の場はかなり限定されることになりました。

たった一度しか使用されず破棄される

 そして運用される予定だったマジノ線の攻略は行われることはありませんでした。1940年5月10日から始まったフランスとの戦いでは、ドイツ軍はマジノ線の構想から外れていた、アルデンヌの森林地帯を抜け、いわゆる電撃戦といわれる装甲部隊の機動力を活かした戦法でフランスに勝利してしまいます。

 それでも列車砲は実戦投入の機会が模索され、「グスタフ」は、独ソ間で1941年9月から始まったセヴァストポリの戦いにおいて、クリミア半島南西部に位置するセヴァストポリ要塞の攻撃に使用されます。計48発の砲弾を発射したとされており、1942年6月17日の砲撃では、同要塞の守りの要になっていたマキシム・ゴーリキー砲台に命中弾を与え、10m以上のコンクリートに防護された弾薬庫も破壊するなど、その凄まじい威力を証明しました。

 ただ、能力を発揮できたのはその戦いのみでした。1発の砲弾の威力の高さは魅力でありましたが、そもそも、その巨体さゆえ重量が1350tもあることが問題でした。

 移動するには専用のディーゼル機関車と戦場まで届けるレールの敷設が必要なうえ、射撃のためにも約1500人の人員が必要でした。そこまでの労力を使い、撃てる砲弾の数は1時間にわずか3、4発程度と、同じ人員を割くならば、通常の火砲や爆撃機の方がよほど効率がいいことが明らかとなります。

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グスタフを視察するナチス幹部たち(画像:ドイツの80cm列車砲「グスタフ」。手前はナチス幹部で、右からふたり目がヒトラー(Walter Frentz撮影)。

 さらに、投入する戦場がないまま時が経過し、ドイツが劣勢となると、移動手段の確保すら不可能になってしまいました。それでも、1944年8月に発生したワルシャワ蜂起への投入が検討されますが、ここでも使われることはなく、「グスタフ」「ドーラ」とも1945年4月、連合国軍に鹵獲されることを避けるために爆破処分されました。

【了】

【うわっ…砲弾デカすぎ】「グスタフ」「ドーラ」に使用する砲弾と撃たれた側の要塞(写真)

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