次期戦闘機、搭載ミサイルは「日本独自で作ります」なぜ? 何でも国際開発がいいわけじゃない!

輸出前提か? それで得られる国民の利益とは

 防衛省は有事の際の継戦能力を高めるため、外国製戦闘機用弾薬の大量調達も進めており、その一環として導入が進められているアムラームはF-35A/Bだけでなく、能力向上改修を受けるF-15Jへの搭載も予定されています。

 現在のF-15J/DJは主力中射程空対空ミサイルとして99式空対空誘導弾(B)を搭載していますが、F-15Jに搭載するアムラームの調達が増加し、JNAAMがそのまま実用化されていれば、前に述べたように日本は空対空ミサイルの開発と生産の基盤を喪失してしまう可能性が高いと考えられます。

 日本政府が一度は次期戦闘機を「外国との協力を視野に、我が国主導で開発」するという方針を定めた理由の一つは、必要に応じて自由に国産兵装の統合を可能とすることにありました。

 国産兵装の開発と生産能力を維持することは防衛産業の雇用を守るだけでなく、自国の安全保障の外国への過度な依存を防ぐという効果があります。

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次期戦闘機のイメージ(画像:防衛省)。

 これまで開発された国産兵装は自衛隊のためだけに開発と生産が行われてきました。このため輸出ができる欧米の同等の製品に比べて、調達コストが高くならざるを得ませんでしたが、次期戦闘機、すなわちGCAPで開発される戦闘機に搭載する兵装は、イギリスとイタリアの両空軍などにも採用される可能性があります。そうなれば調達コスト、すなわち私たちの税負担が少なくなります。

 日本で開発された防衛装備品が外国に輸出されることには賛否両論があるものと思いますが、その可能性を秘めた次期中距離空対空誘導弾の開発は、私たちの安全保障に対する税負担、さらに言えば日本の産業競争力をも左右するプロジェクトであると思いますし、それゆえに注視していく必要があるとも思います。

【了】

【え…】これが日本独自開発の新型「空対空ミサイル」です(画像)

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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