ボロボロ状態?海上保安庁の巡視船「船内生活もままならない」“浸水”した船も
海上保安庁の巡視船の老朽化が著しい状況になっています。中には不具合が多発し、業務の遂行や船内生活にまで支障をきたすような船もあるようです。
巡視船の老朽化が深刻な状態に
海上保安庁は、2023年8月に発表した来年度予算の概算要求の中で、老朽船艇の代替整備を進める方針を示しました。その中で、ヘリコプター搭載型巡視船(PLH)や測量船(HL)などの代替整備を盛り込んでいますが、一部の既存船は老朽化が著しく、代替は急を要するといいます。中には浸水してしまった船や「命の危険がある」「船内生活すらままならない」とまで懸念されている船もあるほどです。
国土交通省が公表した巡視船艇整備事業の評価書によると、代替を計画している既存のヘリコプター搭載型巡視船「やしま」「さがみ」は、老朽化が著しく、不具合が多発しているとしています。
これらの船は、排水管の腐食や甲板の錆など、各所に劣化が発生。評価書では、業務対応中や航行中に故障が発生した場合、遠方海域で孤立して「乗組員の生命の危険に直結する事態」となると指摘しています。また、既存の大型測量船「拓洋」に関しては、亀裂や故障、錆のほか、推進機関の劣化によって舵機室の浸水まで発生したといいます。
ちなみに、2021(令和3年)度補正予算で、既に代替船の建造が進められているヘリコプター搭載型巡視船「しきしま」については、過去の評価書で「老朽化が極めて進行し、業務執行のみならず、船内生活もままならない状況」とされています。同様に、砕氷能力を持つ巡視船「そうや」についても、老朽化で不具合が多発しており、代替船の建造が推進されています。
尖閣諸島における領海警備など、海上保安庁の業務の重要性は年々高まっています。ただ、先述のように既存の巡視船の老朽化が著しく、業務遂行や乗務員の船内生活にまで支障をきたす状況です。海上保安庁は大型巡視船を増強する方針を示していますが、あわせて老朽化した船艇の代替も急がなければならない状況になっています。
【了】
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