『頭文字D』にも登場する「シルエイティ」ってなに? 実はオフィシャルな車両じゃない!? 名前そのものに秘密が
クルマ好きではなくても、聞いたことがあるかもしれない「シルエイティ」という車両名、実は正式のクルマの種類というわけではなく、通称となっています。
姉妹車である「180SX」と「S13シルビア」を使用
1990年代や2000年代初期にかけて「シルエイティ」という車両がスポーツカー好きの間で人気なクルマのひとつとなっていました。同車は、マンガ『頭文字D』にも、佐藤真子の愛機として青い車両が登場します。
実はこの「シルエイティ」という車両は正式にはなく、とあるクルマを改造したものの通称です。
「シルエイティ」という名前で予想をつく人もいるかもしれませんが、日産「180SX」の車体に同じく日産「S13シルビア」のフロントを移植した、いわゆる「顔面スワップ」を行った車両を指します。「180(ワンエイティ)」の車体に「シルビア」のフロントを取り付けたため、頭と末尾をとって「“シル”“エイティ”」となります。
180SXとS13シルビアは姉妹車の関係にあり、パーツの互換性があったためにこのような車両が誕生しました。
なぜ、フロントを付け替えるようになったかは諸説あるようです。一番よく言われているのが、フロントを損傷した180SXに対し、とある走り屋が、台数も多く部品代も安いシルビアのフロントを使ったらどうかと発案したという説です。
180SXはヘッドライトを車体内部に格納できる「リトラクタブル・ヘッドライト」で修理が高価であったため、シルビアのヘッドライトにした方が、部品代も修理代も安く抑えられのでは、ということから広まったと言われています。
また、「シルエイティ」の外見がS13の前のモデルである「S12シルビア」に似ていたことも理由のひとつと言われます。S13は大型化し、丸みを帯びたデザインになったため、もともとの愛好家の間では不評だったといわれており、好きなフォルムのシルビアを求めるなら、「180SX」のフロントをシルビア化するのが一番と判断されたようです。
しかし、そのまま使えるといわけではなく、180SXよりわずかに全長が短くなるため、構造等変更検査を受けて車検を取得し直すか、エアロパーツで全長を伸ばす必要があったそうです。例外として1998年に名古屋のチューニングショップである有限会社きっずはあとが「シルエイティ」を新車として500台限定販売したことがあり、この車両だけは、日産純正の車両として扱われています。
前出の通り、「シルエイティ」は『頭文字D』の作中に登場して一気に知名度を上げました。ドリフト走行の技術を競うモータースポーツ「D1グランプリ」では、2023年現在でも現役使用されている車種で、2022年5月にはD1ドライバー下田紗弥加さんが、自身のYouTubeチャンネルで、青いシルエイティに乗ってリアルで『頭文字D』を再現したこともあります。
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