“水陸両用“なのにタイヤなぜ!? 米海兵隊の最新戦闘車「ACV」元米軍将校が現場目線でチェック!

新時代の運用に適した形に進化

 また、地味ながら回収型車両は重要です。筆者がアフガニスタンで戦っていたときも、車両の破損・故障は日常茶飯事でした。回収車がいなければ、それだけで装備車両がどんどん減っていってしまったと考えられます。

 基本武装が30mm機関砲というのも。海兵隊員にとっては降車戦闘時に心強いのではないでしょうか。戦場において大口径機関砲の迫力は凄まじく、敵は怯み、反撃する余地を奪います。また、30mm口径なら戦車以外のほとんどの戦闘車両は破壊できます。なお、戦車も連射の直撃を喰らえば、無傷では済みません。また、30mm口径だと、弾頭もある程度大きくなるため、内部に様々なものを詰めることができるようになり、用途に応じた多様な弾頭のバリエーションが設定されるようになります。

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アメリカ海兵隊がAAV7の後継として導入したACV(画像:アメリカ海兵隊)。

 筆者は現役時代、第82空挺師団というパラシュート部隊に属していましたが、空挺作戦と上陸作戦は同じ性質を持っていると考えています。

 両作戦とも、兵士でいうと数万人単位、すなわち1個師団以上を投入するような大規模な部隊を投入するような場面では、大きな損害を生じることは避けられません。空挺降下も上陸も、実施する側は敵に生身を晒す形で攻勢をかけるため、とても無防備であり、また戦車など重装備を持たない軽歩兵を敵地に送り込むことになるからです。

 アメリカ軍には、それら作戦を実行する能力はありますが、たとえ成功したとしても大損害を出せば世論が許さないでしょう。ですが、地形や状況に応じて、限定的な空挺作戦や上陸作戦は今後も行われていくはずです。

 実際、アメリカ軍は2001年のアフガニスタン戦争において、200人規模の陸軍レンジャー隊員を空挺降下させ、飛行場を奪取しています(実行にあたっては充分な事前偵察を行い、敵がいないことを確認済み)。それゆえに、決して失ってはいけない能力のひとつだと言えるかもしれません

【おお、浮いてる!】ACVの水上航行シーン 車体後部のアップも(写真)

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