“水陸両用“なのにタイヤなぜ!? 米海兵隊の最新戦闘車「ACV」元米軍将校が現場目線でチェック!
日本はAAV7を導入したが…
こうして見てみると、アメリカ海兵隊がBAE製のACVを採用し導入を進めているのは理にかなっていると言えそうです。
では、ひるがえって日本はどうでしょうか。ご存じの通り陸上自衛隊の水陸機動団ではAAV7を運用していますが、筆者は同車を導入したという判断には疑問を抱いています。
水陸機動団員が多くを学んだアメリカ海兵隊は、2010年代にはAAV7の後継選定に入っており、当初計画の頓挫などがあり予定していた2015年からは遅れたものの、2018年にはACVが採用されています。
自衛隊のAAV7試験導入は2013年ですが、当然この頃には後継車両の計画は自衛隊員の耳にも入っていたはずです。それなのになぜ、50年以上も前に設計された車両を採用したのでしょう。
AH-64D戦闘ヘリの導入についても同様のことが言えますが、日本は兵器を採用するタイミングに問題があるように感じます。新車購入に喩えるなら、フルモデルチェンジの直前に、古い型を買うようなものです。たしかに新型車両は、新型ゆえに不具合が起きる場合もありますが、それはたいてい修正可能な程度のものであり、BAEのような実績ある企業であれば、容易に対応できるものでしょう。
こういうことを何度も繰り返す陸上自衛隊を見ていると、税金を使った買い物なのだから、もっと効率的に使うべきではないかと、老婆心ながら心配になってしまいます。
【了】
Writer: 飯柴智亮(元アメリカ陸軍将校)
東京都出身。州立北ミシガン大学在学時に米陸軍予備役士官訓練部隊(ROTC)で訓練を受ける。1999年、米陸軍入隊。第82空挺師団に所属しOEF(不屈の自由作戦)に出征。2005年、少尉任官。ストライカー旅団などで勤務。2009年除隊。国際政治学修士。極真空手初段。
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