掃海艦、減らすはずでは? 「のうみ」進水で見えた海自の計画修正 もがみ型護衛艦の“弱点”めぐり見直し?
もがみ型護衛艦の掃海機能はどうなった?
ただ、もがみ型FFMは専用の掃海艦艇と比べて船体が大きく、小回りが利かないため、機雷が設置されているリスクが高いエリアで作業するには、掃海艦の方が向いています。加えて、もがみ型は船体が鋼製であるため、磁気に反応する機雷への対策が、木製やFRP製の専用に設計された掃海艦艇よりも劣っているという弱点も抱えています。
こういった点は、USV(水上無人機)やUUV(無人水中航走体)などで構成される無人機雷排除システムを持っていても拭い切れない、もがみ型のウィークポイントといえるでしょう。ゆえに、掃海艦という艦種は今後も残り続けることが決まっています。
筆者(深水千翔:海事ライター)はかねてより、アメリカ海軍も原子力空母が配備されている横須賀基地周辺や東京湾内の機雷監視に、海自の掃海部隊が必要との認識を示しているというハナシを聞いています。
こうした背景もあって、浅深度の機雷掃海はFFM、深深度の機雷掃海は掃海艦という形で役割分担がなされるようです。実際、2022年末に策定された「防衛力整備計画」では、機雷戦能力を強化するため、掃海用無人アセットを管制する掃海艦艇を増勢する方針が示されています。
これに伴い、あわじ型は2020年以降、2年に1隻ずつ建造されていくことが決まっており、2022年度予算では5番艦の建造費135億円を計上。2024年度の概算要求には6番艦の建造費用262億円が盛り込まれています。
今回、進水した掃海艦「のうみ」は機雷戦装備として使い捨ての自走式機雷処分用弾薬(EMD)や新型可変深度式探知ソナー(VDS)システムOQQ-10、機雷捜索用水中無人機(UUV)OZZ-4などを搭載。これらに加えて「えたじま」でも採用された情報収集ROV(隔操作型無人潜水機)OXX-2も装備すると見られます。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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