ロードスター先輩に宣戦布告? 揺れるダイハツ・コペン「軽はもうやめます」というメッセージ
「軽はもうムリ」は見えている?
キュートで可愛らしいだけでなく、運転も楽しい。軽を価格で見るのではなく、愛すべき存在として見てほしい――ダイハツの中の人がそう胸を張れるクルマが「コペン」なのです。それを他社からOEM供給されるなんて、ありえません。なんとしても自分たちで作り上げたいと考えるはずです。
では、他車からのOEM供給を拒否してまで作りたい「コペン」が、なぜ、これまでと全く違う形になっているのでしょうか。これに関して、ショー会場にいたダイハツの人に聞いたところ、目からウロコが落ちるような納得の回答を得られました。
ダイハツの人いわく、「コペンは重要なモデルなので、当然、次の世代のことを考えていた。でも、軽自動車の安全規準は年々厳しくなるばかり。このままでは、軽自動車でオープンカーを作るのは難しい。そこで、ゼロベースで考え直したところ、登録車のFRレイアウトになった」とのこと。
なるほど、5年や10年という長いスパンで考えると、軽自動車で考えると厳しいのは確かです。また、登録車にすれば、トヨタが扱う可能性も生まれますし、海外でも販売しやすくなります。EVコンセプトにせずに、エンジン車コンセプトにしたところからも、量産化に向けた本気度が感じられます。
ダイハツの現場レベルの人たちは、なんとか次世代の「コペン」を世に送り出したいと考えていることは確実です。あとは、経営を司る偉い人をどれだけ口説けるかではないでしょうか。今回の「ジャパンモビリティショー2023」において「ビジョン・コペン」が注目されるようになれば、それも偉い人の説得材料になることでしょう。
ちなみに初代「コペン」も、その前となる1997年の東京モーターショーにおける「FR-X」、そして1999年の「KOPEN」というコンセプトカーが存在していました。そうしたコンセプトカーの先に量産車が登場してきています。「ビジョン・コペン」も、今後の状況次第では、市販化への道も切り拓けるはず。意外や可能性の高い1台かもしれません。
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。
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