「友好国はヘリのパーツ返して」ロシア政府 兵器不足で海外に売却した兵器を買い戻しか?
ロシア国防省が自国の兵器を輸入しているエジプトやベラルーシなどに、エンジンなどの一部部品の提供を呼びかけているようです。装備品の欠損が深刻さを増しているのでしょうか。
アメリカ政府は「物乞い」と揶揄?
アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは、ロシア国防省がパキスタン、エジプト、ベラルーシ、ブラジルなど、ロシア製兵器の購入国に対してヘリコプターや兵器の予備部品の返還を要求していると2023年11月8日に報じました。
この話は同紙が元ロシア諜報員からの情報として報じたものです。この取引により、Mi-8およびMi-17ヘリコプター用のエンジン約150基が、12月にエジプトから到着する可能性があるといいます。
ロシアはこれらのエンジンを引き取る見返りとして、エジプトがこれまでに納入したヘリコプター、戦闘機、防空システムの滞納金を免除し、さらに小麦輸出の継続を約束するという形を取ったそうです。エジプトは小麦輸入量の60%以上をロシアに依存しており、かなり重要な決定です。
また、ブラジルからはMi-35M用のエンジン12基を買い戻すことを望んでいたようですが、これはブラジル外務省に却下されたとしています。ほかに、パキスタンからもMi-35M用のエンジンの提供を求めたそうです。ベラルーシからはMi-26大型輸送ヘリコプターのエンジン6基を要請し、ベラルーシはこれに応じたとのことです。
2022年2月のウクライナ侵攻以降、ロシアではジェット戦闘機や攻撃機に関しては序盤の大損害以降、重要な戦場でしか投入していない一方、ヘリコプターは戦闘の全期間を通し前線へと送っています。ウクライナ軍参謀本部は、2023年11月1日の時点で、約320機を撃墜したとしています。
この数字はウクライナ側の発表ではありますが、損失の影響がロシアにあるのは確かです。侵攻が始まって以降、ロシアの兵器輸出は2021年の145億ドルに対し、2022年には80億ドルに減少しました。
さらに、旧式兵器の使用や他国からの供与に頼らない限り、2023年の前半頃までには「任務を果たせるに足る兵器が枯渇する」と、2022年末アメリカ政府が分析した結果通り、2023年にはロシア軍の旧式兵器投入の報道が相次ぎました。
2023年9月にはウラジーミル・プーチン大統領が友好国である北朝鮮やイランに訪れ、ロシアへのさらなる武器や弾薬の援助を呼びかけ、この行動をアメリカのロイド・オースティン国務長官が「物乞い」をしていると揶揄したこともあります。
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Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
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