日本生まれなのに「世界最大級のコンテナ船」が日本に帰れないワケ 物流の世界サイズ“受入れムリ”な現状

なんと電源プラグが2000か所以上!

 ラッシング・ブリッジを注目してみると、冷凍・冷蔵貨物の輸送に使用されるリーファーコンテナの電源プラグが確認できます。「ONE INSPIRATION」では2000か所以上が用意されており、顧客のニーズに沿ったサービスをより柔軟に提供できるようになりました。もちろんコンテナ内に窒素を充満させて青果物の鮮度を保持したまま海上輸送が可能なCAコンテナにも対応しています。

 従来の船ではレーダーやECDIS(電子海図システム)、主機リモートコントロールシステムなどさまざまな航海計器や操船機器類が別々に配置されていましたが、「ONE INSPIRATION」では少人数でも効率的な運航ができるよう、着座式の統合型航海システム(INS)が採用されています。そのため、ブリッジ内を移動することなく、航海情報の確認や機器の操作を手元で同時に行えるようになりました。

 さらに、ブリッジは左右のウイングまで全て屋内に収められた全天候型となっており、離接岸時には床に設けられた窓から下を見ながら、ウイング端に設置されたジョイスティックを使い細かな操船をすることができます。

 主機はドイツのMANが開発した最新の電子制御ディーゼルエンジンを搭載。SOx(硫黄酸化物)を回収するスクラバーに加え、荷役時にディーゼル発電機の運転停止を可能とする AMP(陸上電源供給システム)を搭載するなど、さまざまな環境規制に対応しました。これにより、燃料消費量は既存の2万TEU型に比べて、約20%減となっています。

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全長は約400m。通路の移動だけでもひと苦労(深水千翔撮影)。

世界のどこで運航されるのか 船内にはバーまで

「ONE INSPIRATION」が投入されるのは、「ザ・アライアンス(TA)」のアジア~欧州航路FE3です。アジアでは中国の寧波(ニンポー)、厦門(アモイ)、台湾の高雄、シンガポールなど、欧州ではオランダのロッテルダムやドイツのハンブルグ、ベルギーのアントワープなどに寄港。所要日数は84日間です。

 2万TEUを超えるコンテナ船とあって、大量の荷物を降ろす欧州の港では2日から3日ほど停泊するとのことです。長期の航海となるため、船内にはお酒を飲めるバーカウンターを備えたラウンジや、トレーニングルームなども置かれています。

【写真】これが「世界最大級のコンテナ船」の全てだ!(73枚)

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