車の常識変わる?「フットブレーキ電動化」実現近づく 従来ブレーキと別次元の“油圧ナシ”そのメリットとは

「油圧レスで完全電動化」リスクあっても求められる理由

 そこで、まずは電気系統のダウンを回避する方策として、油圧系と電気系のシステムを組み合わせて冗長化することが考えられます。そうした取り組みはすでに始まっており、イタリアのディスクブレーキメーカーであるブレンボは、ペダルからキャリパーの近くまで電気信号でその情報を伝送し、キャリパー近くに配置した電動ポンプで電気信号を元にブレーキを油圧で動作させています。こうした技術は他のブレーキメーカーも実現に目途をつけているようです。

 ただ、油圧系をまったく持たないブレーキの電動化も、自動運転や脱炭素社会に向けた技術として要求が高まっているのも確かです。完全な電動化を実現できれば、ブレーキフルード(ブレーキオイル)を廃止することができ、車両メンテナンスの負荷低減はもちろん、環境負荷の低減にもつながるからです。

 この状況を踏まえれば、実現はもう少し先になりそうですが、ディスクブレーキの電動化は近い将来、必ず訪れるとみて間違いないと思います。

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アイシングループの「アドヴィックス」が開発を進めている、ブレーキオイルを使わない電動ディスクブレーキの試作機(画像:アイシン)。

 では、実用化はいつ頃になるのでしょうか。アドヴィックス経営企画部長の井上 満さんは、その時期について明確には答えられないとしながらも、次のように話します。

「クルマ全体が電動化していく流れの中で、それに応じた部品の調達もしやすくなっていくと思います。今はまだ(電動ディスクブレーキは)試作レベルにあり、まずは価格を(自動車メーカーに)買っていただけるレベルにしなければなりません。流れとしては2030年代に後輪から採用していき、最終的には四輪での採用を目指していく計画です」

【了】

【画像】これが全く新しい"油圧レス”ブレーキシステムです

Writer: 会田 肇(乗り物ライター)

茨城県出身。自動車雑誌編集者を経て、フリーランスへ転身。音楽を聴きながらドライブするのが大好きで、それがカーナビやカーオディオ評論を行うきっかけとなった。近年は自動運転に絡むITSの取材活動も力を注ぐ。日本自動車ジャーナリスト協会会員。デジタルカメラグランプリ審査員。

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コメント

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3件のコメント

  1. 自動車屋さんは怖いもの知らずですね。
    OTAのセキュリティが破られたらどうなるか、少しは想像して欲しい物です。暗殺ぐらいで済めばラッキーで、無差別テロにでも使われた日には...

    完全なコンピュータセキュリティは存在しないと言う常識ぐらい、一般化して欲しい物です。

    • うざすぎワロタ

    • こいつみたいな頭おかしいモンスタークレーマーが日本の技術の発展を妨げてきたんだろうな