まるで走るバスタブ! 80年前の「泳ぐフォルクスワーゲン」完全レストア車が日本になぜ? ある企業の「資料」に
大阪の造形メーカー、海洋堂には実物のドイツ軍用車両が保管されています。いくつかあるなかで、目についたのがバスタブのようなユニークな形状をしたクルマです。実はこれ、日本に数えるほどしかない激レア車でした。
大阪の倉庫に眠る激レア水陸両用車とご対面!
大阪府の門真市にある造形メーカー「海洋堂」は、その精密で優れた造形技術が高く評価され、アニメや特撮関係のフィギュアだけではなく、食玩の動物や小型スケールの戦車、恐竜、さらには仏像など多種多様なミニチュアの製作・販売を手掛けています。
また、千葉の幕張メッセで年に2回行われるガレージキットの展示・販売イベント「ワンダーフェスティバル」も長年に渡って同社が主催しています。その海洋堂を先日、筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)は訪ねました。
主な目的は、本社倉庫に保管されているドイツ製の8.8cm(88mm)高射砲を取材すること。ただ、これとは別に、隣接するガレージにあったドイツ軍用車両の見学も同時に行うことができました。
そこで目に入ったのが、まるでバスタブにタイヤとライトが付いたかのようなユニークな舟型をした形状のクルマです。
それは第2次世界大戦中にドイツで開発された「シュビムワーゲン」という水陸両用車。同車は日本でもよく知られた「フォルクスワーゲン」の軍用モデルといえる「キューベルワーゲン」をベースに開発された車両で、水上航行ができるよう車体後部の下側にスクリュープロペラを装備しているのが大きな特徴です。
なお、名称の「シュビムワーゲン」はドイツ語で「泳ぐ車」という意味であり、いうなれば「水陸両用車」という単語そのままのネーミングになります。原型の「フォルクスワーゲン」がドイツ語で「国民車」という意味なので、それと同様の呼び方といえるでしょう。
こちらの「シュビムワーゲン」は、当時造られた実物で、大戦終結から80年近く経った現在では極めて貴重な車両になります。どうして、このような珍しいクルマが、工場や倉庫などが広がる門真市にあるのでしょうか。
実は、この軍用の水陸両用車は、海洋堂の専務取締役で模型好き&ミリタリー好きな宮脇修一氏が、少年時代の夢を実現するとともに会社の資料として購入したものでした。
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