「ぶつかるのが仕事です」アメリカの超レア艦艇が来日! ダイナミックすぎる“仕事のやりがい” 船長に聞いた

北極海航路により変わる沿岸警備隊の体勢

 この「ポーラースター」を含め、現在アメリカ沿岸警備隊は2隻の砕氷船を保有しています。もう1隻は1999(平成11)年に就役した中型砕氷船「ヒーリー」で、こちらは主に北極海での科学調査活動などを実施しています。

 しかし、近年の地球温暖化の影響もあり、北極海に関しては、船舶の航行が可能な新たな航路である「北極海航路」が注目を集めています。これにより、ヨーロッパとインド太平洋地域とを従来よりも格段に短い距離で結ぶことができるため、経済的なメリットが期待されていますが、同時に安全保障上の問題も浮上してきています。

 そこでアメリカ沿岸警備隊では今後、砕氷船の数を増やしていくことを計画しており、主に北極海での警備などを担うカッター(巡視船)として3隻の「極域警備船(Polar Security Cutter)」の整備を進めています。

 これは、「ポーラースター」と同じく大型砕氷船ではありますが武装しており、30mm機関砲などが搭載されます。2023年には、1番船「ポーラーセンチネル」の建造が開始されており、就役は2028年の予定です。

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今回の航海に関する行程表。母港であるシアトルを11月に出港し、帰国するのは4月の予定(2024年3月12日、稲葉義泰撮影)。

 この極域警備船が就役するまでは、「ポーラースター」は引き続きアメリカ沿岸警備隊唯一の大型砕氷船です。カリフォルニア州サンフランシスコで行われる艦齢延伸工事が終わると、「ポーラースター」は再び任務に戻ることになります。いつかまた、日本に寄港する機会が訪れることを願ってやみません。

【了】

滅多に見られない! 船内の様子は(写真)

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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