隠密作戦に最強の乗り物!? 新型「ボート」もとい「板」がスゴイ! 戦い方をガラッと変える可能性

音もなく、深夜の海面を高速で移動する黒い影……。映画などでお馴染みの特殊部隊による水路進入の作戦が大きく変わるかもしれません。北欧メーカーが開発した新たな潜入用ボートは特殊作戦の「ゲーム・チェンジャー」となるのでしょうか。

特殊作戦用ゴムボートの概念変わるかも

 アメリカ海軍特殊部隊SEALsに代表される海軍系の特殊部隊の潜入シーンといえば、真っ黒なゴムボートを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。低く伏せるような姿勢のオペレーター(兵士)たちを乗せ、水面を高速で移動するシーンはカッコよく、映画などでもたびたび描かれます。

 あのボートはフランスのゾディアック社が開発したもので、まさに海軍特殊部隊向けに作られたものです。いわゆるインフレータブル・ボート(空気膨張式ボート)といわれるもので、アメリカ陸軍に所属していた筆者(飯柴智亮:元アメリカ陸軍将校)も、現役時代に渡河訓練などで使用した経験があります。また日本でも、海上自衛隊のSBU(特別警備隊)や海上保安庁のSST(特殊警備隊)で使用されています。

 これだけ聞くと、特別仕様のボートだと思うかもしれませんが、誤解を恐れずに言うと「単なるゴムボート」に過ぎません。たしかにスピードは出ますが、それは船外機によって得られるもので、出力のハナシでしかありません。

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スウェーデンのSOAL社が開発した「KRAKAジェット・ボード」。オペレーターはハンドルに掴まり、伏せた姿勢で搭乗するため、全体のシルエットが低く、隠密性に優れているのが特徴(画像:SOAL)

 ある意味、特殊部隊の世界ではベストセラーと言えるインフレータブル・ボートですが、そんな特殊作戦用ゴムボートの業界に大きな変化が起きようとしています。それが今回紹介する「KRAKAジェット・ボード」です。

 開発したのは北欧スウェーデンの企業、SOAL社です。スウェーデンは優れた海軍を持つ国として安全保障のコミュニティでは知られています。それは地図を見れば一目瞭然でしょう。

 スウェーデンにとっての海とはバルト海、つまり冷戦時代は対ソ連(現ロシア)海軍、いわゆるバルチック艦隊(バルト海艦隊)の最前線にあったわけです。そして冷戦後も、その戦略的重要性は色褪せていません。今年(2024年)、スウェーデンがNATO(北大西洋条約機構)に加盟し、ロシアとのあいだに緊張が高まりましたが、スウェーデンは過去数十年にわたり、ソ連/ロシアの軍事的脅威と隣り合うなかで海軍を整備してきたのです。

【アイア●マンかよ!?】これが新装備「ジェット・ボード」の使い道です(写真)

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