ボーイングが日本にオープンした「研究施設」一体なにをする? 名古屋駅前に誕生 7か国目の拠点設置のワケ

まだまだあるぞ「ボーイングの研究施設」で実施されること

 ボーイングは2023年に水素燃料航空機を実現するため「水素技術統合プロジェクト」を経済産業省に提案しており、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)を通して委託研究を受注しました。同研究は名古屋オフィスが「フィージビリティ・スタディ(新規プロジェクトの事前調査)」という形で、水素燃料技術が将来的にどのような可能性とリスクがあるかなどを検討していきます。

Large 02

拡大画像

研究開発拠点「ボーイング・ジャパン・リサーチセンター」(深水千翔撮影)。

 また、同センターでは、ロボットソリューションの開発も行われる予定です。現在、製造した主翼などの点検は、人間が中に入ることが一般的です。しかしこれでは、作業性が悪く安全確保も難しいという課題がありました。

そこで、ロボットにカメラやセンサーを取り付けることで、狭く暗い空間の様子を確認できるようにします。同センターには、センサーやカメラを取り付けるアタッチメントを作るための3D プリンターも置かれています。

 一方で研究開発とは別に「製造技術インテグレーション(MTI)」と呼ばれる、サプライヤーのサポートを行う部門も設置されています。

ここではサプライヤーの製造能力やリスクの検証、部品製造に必要な認定、トラブルが発生した際の迅速なサポートと原因究明調査を行っていきます。これまでは米国からその都度、人員が派遣されていましたが、名古屋オフィスでもその役割を担うことで業務の効率化へとつなげるとのこと。ゆくゆくは日本のみならず、東南アジア全域もカバーしていく予定です。

【了】

【写真】ナニコレ…ボーイングが開発の「異形機」全貌&名「研究センター」の内部

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。