「エスカレーターを歩くな」何が危険か、本当に知ってますか? メーカーが直接啓発へ “情緒的な議論”にならないために
一部自治体で条例化もされている「エスカレーターの歩行禁止」について、エスカレーターメーカーがその危険性を啓発するwebサイトを開設。なぜいま、直接的な啓発に乗り出したのでしょうか。
「誰かが危ない思いをしている」議論に欠けた視点
メーカー側はエスカレーターについて、もともと歩行を想定したものではない、というスタンスです。ただそのことを、「単に取扱い説明として紹介してきた」(日立ビルシステム)側面があるといいます。エスカレーターの歩行が社会問題化するなかで、その問題にフォーカスした発信をあえて行ったのが、今回の取り組みだといいます。
「メディアからも月に何回か、エスカレーターの歩行の危険性についてお問い合わせをいただきます。そこで聞かれる内容を発信しました」(日立ビルシステム)
エスカレーターの歩行によって、高齢者や体の不自由な人が危険な思いをしている、ということはこれまで、理学療法士の団体などが積極的に啓発を行い、鉄道事業者や自治体の動きへとつなげた側面がありあます。
しかし、その観点でメディアに取り上げられると、「情緒的な言い回しが多く、一般からのコメントもさらに情緒的なものになりがちで、こちらが発信していない内容が独り歩きすることもある」(日立ビルシステム)とのこと。そこで、メーカーとして技術・構造面から歩行の危険性を紹介することにしたといいます。
ちなみに日立ビルシステムは、「エスカレーターの片側空けを抑止する新機能」を搭載した商品も2023年12月に発表しています。ステップの2か所をLEDで照らし、2列で立つよう誘導する機能などをもった新機種で、安全利用の実現と輸送効率の向上を図るとしています。
【了】
※一部修正しました(5月27日14時54分)。
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