満員電車は「違法」です!? 当たり前に許容される法律のカラクリ “鉄道あるある”100年の議論

乗りものには定員があり、特に自動車や航空機は厳格に守られています。しかし鉄道では「満員電車」なる言葉もあるように、定員を大幅に超えた乗車も日常です。なぜ許されているのか、法律を巡っても様々な見解があります。

列車に定められた3つの定員

 コロナ禍で通勤定期利用者が減少した結果、鉄道の朝ラッシュピーク1時間における平均混雑率は、最大200%から150%以下に減りました。とはいえ100%を超えているということは、未だに「定員」を超える人が乗っているわけです。

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満員電車のイメージ(画像:PIXTA)。

 鉄道営業法には定員を超えた乗車を禁止しているように解釈できる条文があります。ひとつは「乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ限リ乗車スルコトヲ得」(第15条第2項)、もうひとつは「鉄道係員旅客ヲ強ヒテ定員ヲ超エ車中ニ乗込マシメタルトキハ三十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス」(第26条)です。

 鉄道には「立席定員」というほかの交通機関とは異なる利用形態があるとはいえ、自動車や航空機は定員が厳格に決められているのに、なぜ鉄道の定員超過は許されるのか。これは「鉄道あるある」な疑問であり、雑誌、ウェブ媒体、個人ブログまで様々な所で語られています。

 まず定員の定義ですが、日本民営鉄道協会ウェブサイトの鉄道用語辞典は、定員とは座席定員と立席定員の合計であり、座席および床面積をJIS規格に定められた値で割って算出すると解説しています。そして「定員超過」が問題ないことを次のように説明しています。

「旅客列車の定員には、座席数を算定した『座席定員』、通常の運行に支障のない定員数を示した『サービス定員』、さらに車両の構造または運転上、それ以上乗っては危険だという員数を示す『保安定員』があります。乗用車や航空機、船舶などは『保安定員』を定員としていますが、鉄道は『サービス定員』を定員としています」

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