世界史上“最悪の軍艦” 世紀の珍兵器「円形軍艦」なぜ誕生? 1発撃ったら“艦がグルグル回転”!?

1873年ロシア、サンクトペテルブルクにあるアドミラルティ造船所から、1隻の奇妙な軍艦が進水しました。艦の名前は「ノヴゴロド」。船体がほぼ円形でした。

円形の軍艦を作らなければならない事情があった!

 どうしてこのような攻めた構造の軍艦を作ることになってしまったのか、それは当時のロシア帝国の国際的な立場も関係しています。実は1853年から1856年にかけて行われたクリミア戦争において、ロシア軍はオスマン・トルコ、イギリス、フランス、サルデーニャ連合軍に敗北し、パリ条約により黒海での軍艦保有に制限がかけられてしまいました。

 黒海やクリミア半島は、ロシア海軍が地中海経由で外洋へ出る際に重要な拠点となっており、21世紀の現在でも、同地を巡りウクライナとの戦闘が行われています。

 ロシアが外洋に進出するための生命線ともいえるクリミア半島の防衛のために、軍艦は不可欠でした。そのため、ポポフ少将は円形で軍艦と判別しにくい同艦を、クリミア半島のセヴァストポリに浮かべる予定の「浮遊型の要塞だ」と主張して早急に建造しようと考えたのです。

 この制限は1871年には解除になるものの、艦の建造はその年の12月から始まりました。なお、当初は同型艦を10隻建造する計画があったようですが、クリミア戦争の敗北で支払った賠償金の影響もあり、1番艦として「ノヴゴロド」、その次にやや大型な「ヴィツェ・アドミラル・ポポフ」が建造された時点で建造を終えています。これ以上建造しなかったのは、ある意味、不幸中の幸いだったかもしれません。

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上から見た「ノヴゴロド」のスケッチ(画像:パブリックドメイン)。

 直径約30mとなった円形の船は、エルダーの考えた通り、非常に高い浮力をもち、進水後も良好な性能を発揮。11インチ(約28cm)の砲を2門搭載しても非常に高い安定性を示しました。喫水は最大で4.1m、乾舷はわずか46cmで、手を伸ばせば甲板から水面に手が届く距離でした。低い船体には装甲が施されて「ノヴゴロド」は1874年に就役しました。

【飛行機でも丸い珍兵器が!】これが、アメリカ軍が開発した“空飛ぶパンケーキ”です(写真)

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