北極圏に40年放置の秘密基地 ステルス戦闘機用で復活 ウクライナ戦争が影響か
ロシア国境までかなり近いです。
軍民両方で使用中
NATO(北大西洋条約機構)は2024年6月19日、冷戦中にノルウェーの山岳地帯に造られ、その後40年間放置されていた洞窟施設を、同国空軍が再整備し使えるようにしたと明らかにしました。
場所はノルウェー北部のトロムス県にあるバルドゥフォス空軍基地。ここには民間のバルドゥフォス空港もあり、滑走路などを共用しています。
空軍部隊は2024年6月現在、ヘリコプターを運用する第337飛行隊と第339飛行隊、そしてプロペラ練習機サーブ「サファリ」を運用する空軍飛行訓練学校が置かれているだけですが、民間空港にはノルウェー航空大学があるほか、地元の飛行クラブやスカイダイビングチームなども所在するなど、ノルウェーの航空界隈の一大拠点となっています。
ここは、旧ソ連/ロシアに近く、かつ北極圏に設けられた数少ない本格的な航空基地であることから、冷戦中には横穴式の洞窟シェルターや整備格納庫などが多数造られてきた経緯があります。ただ、そういった施設は冷戦末期にはほぼ使われなくなり、旧ソ連が崩壊した後はほとんど放置されていたそう。しかし、ノルウェーがF-35Aの導入を決め、機体の引き渡しが始まったことに伴い、同基地を最新のF-35Aの運用拠点にすることが決定。これに伴い40年ぶりに再び運用が開始されることになった模様です。
ノルウェー空軍では、バルドゥフォス空軍基地の環境は、戦闘機を保護するのにうってつけなのだとか。山岳格納庫は、航空作戦の実施回数を増やすのに向いており、長期的な視点では、自軍部隊だけでなく、NATO連合軍の活動強化にもつながるとしています。
なお、ノルウェー統合航空作戦センター(JAOC)のトップであるトロン・ストランド准将は、今回の洞窟施設の再整備について「ウクライナ戦争をきっかけとした安全保障政策の状況悪化は、空軍がより鋭敏にならざるを得ないことを意味しています。戦時下では、地上の航空機は脆弱です。ゆえに高性能なステルス戦闘機を数揃えただけでは不十分です」と述べていました。
【了】
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