ロシア経済の「柱」もうガタガタ? “世界第2位”から陥落 兵器が破壊されまくる悪循環
2023年度のロシアのGDPは、厳しい経済成長にも関わらず、前年度比3.6%増と好調を維持しています。経済を支える大きな要因は資源の輸出ですが、もうひとつのロシア経済の“柱”には変化が起こっています。
武器輸出ランキングで3位に転落!
2022年2月のウクライナ侵攻以来、日本やアメリカなどの自由主義陣営諸国はロシアに対して経済制裁を行ってきましたが、2023年度のロシアのGDPは前年度比3.6%増と好調を維持しています。ただ、経済を支える2つの柱には変化が生じています。
柱の一つは、オリガルヒ(ロシア語で経済支配者)が仕切る資源系の輸出です。
たとえば、F-1チームの「ハース」にスポンサー料を払い、ハースから息子を出走させていたロシアの肥料メーカー「ウラルカリ」CEO(最高経営責任者)のドミトリー・マゼピン氏のように、F-1の巨額のスポンサー料をポンと支払えるようなオリガルヒもいます。ハースはウクライナ侵攻以降、ウラルカリとの関係を断絶し、ウラルカリはスポンサー料の返還を求めハースと法廷で争っていましたが、2024年6月にスイスの仲裁裁判所が裁定を下しています。
ただ、資源に依存する経済成長には限度があることから、ロシアは工業製品輸出国への脱却を図っていました。ロシアの工業製品輸出国化はまだ道半ばですが、そうした中でも兵器の輸出のみはソビエト連邦(ソ連)時代の技術の蓄積もあり好調で、兵器産業はロシアの工業大国化を牽引していたと言っても過言ではありません。
しかし、その兵器輸出が低迷しています。スウェーデンに本拠地を置くストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が2024年3月に発表したデータでは、ロシアから兵器を輸入した国が2019年の31か国から、2023年には12か国にまで減少。世界第2位の兵器輸出国(1位はアメリカ)の地位をフランスに奪われました。
世界第2位の座をロシアは長年、守り続けてきたわけですが、その道のりは平坦なものではありませんでした。ソ連時代に影響力下にあった東欧諸国の多くが、1990年代以降に兵器を買わなくなったからです。
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