「激しい急降下」で乗客死亡も 飛行機を襲う「晴れてるのに乱気流」世界で大問題! 乗客の“心構え”を聞いた

「パイロットの体感」でしかないからね

 ミッチェル氏によると、そもそも操縦士報告というのは、機内で最も揺れにくい飛行機の最前部に座るパイロットの体感で「弱」「並」「強」「激しい」などと評価するため、過小評価しがちだといいます。その上、「並」以下の乱気流は報告義務がないため、面倒くさがりなパイロットの場合はすべてを「並」ということにして通り過ぎることも。

 このためミッチェル氏は、すべての旅客機に揺れ方を正確に測定できる「3軸加速度センサー」と、自動で情報を共有する報告システムの導入が急務だと訴えます。

 同氏によると、不運にも激しい晴天乱気流に突っ込んでしまった際の対処の方法は、

(1)高度を上げる
(2)高度を下げる
(3)まったく違うルートに変更する
(4)速度を落とす

 の4つだといいます。高度を上げるのは、燃料の残量が少なくて機体が軽い場合にしか適用できず、逆に高度が低い位置での飛行は燃費が悪いため、目的地まで到達できるだけの燃料が必要です。

 また、高度の変更とルート変更は、別の飛行機がいて物理的に無理な場合も多々ある上に、何メートル高度やルートを変更すれば乱気流を避けられるのか分かりません。高度やルートを変更してみた結果、さらに激しい乱気流に突入してしまう危険性もあると同氏は指摘します。

 そこで、最も簡単で確実な方法は、速度を落とし、空気の「壁」に衝突する衝撃をできるだけ軽減させながら、乱気流から出るまで耐え忍んで飛ぶ方法です。

 大半の航空会社では、乱気流に入ってしまった場合も、オートパイロット(自動操縦)で飛ぶことが推奨されているそうです。乱気流に煽(あお)られながらの飛行の場合、オートパイロットの方が人間の判断よりも的確に機体のバランスを取れるということですが、あまりに激しい乱気流に巻き込まれて乱高下してしまった時には、オートパイロットが「計算不能」と音を上げてしまい、オフになってしまうことも。

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晴天乱気流は予測が難しいとされる。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 冒頭のシンガポール航空の事故でも、乱気流に突入した直後の21秒間は手動で操縦したことが、公開されているフライトレコーダーの記録で確認できますが、オートパイロットが対処できないほど激しい乱気流だったのではないかと同氏は推測します。

 それほどの激しい乱気流に巻き込まれてしまった場合、乗客はどのように身を守れるのでしょうか。

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