「激しい急降下」で乗客死亡も 飛行機を襲う「晴れてるのに乱気流」世界で大問題! 乗客の“心構え”を聞いた
身を守るシートベルト「締め方にコツあり」
直近でシンガポール航空の例が起こってしまったとはいえ、意外にも、晴天乱気流が原因とされる墜落事故はあまり多くありません。航空関係者の間では、1966年に富士山付近の上空で英国海外航空(現ブリティッシュ・エアウェイズ)の機体が空中分解して墜落した事故くらいだという見解が一般的です。
そのうえ、シートベルトを締めていれば乱気流での負傷はしないともされています。ただ、ミッチェル氏は「シートベルトの締め方にコツがある」と言います。
ゆるいズボンが下がってきてしまうのを防ぐためにベルトを締めるくらいの圧迫感で、シートベルトを締めるのが大切だそうです。
長時間ベルトをきつく締めさせておくのが難しい幼児の場合は、ひとまず緩めにシートベルトをさせておき、頭上の棚の荷物や折り畳みテーブルの上の物がカタカタと音を立て始めた場合は、念のためにシートベルトをギュッと締めるのが良いということです。
また、エコノミー症候群の予防のため、定期的に座席から立ち上がることが推奨されていますが、それもなるべく短時間にし、お手洗いに行く場合は、個室内の手すりにつかまりながら用を足すのが有効だそうです。そして、激しい揺れになった場合には、座席に戻ろうとはせず、そのまま個室内の手すりに両手でつかまりながら、その腕で頭と首を覆うのが効果的だといいます。
人工知能を使った晴天乱気流の予測システムの開発や、大型機の垂直方向への揚力を高める技術の開発など、新規ビジネスへの競争も過熱しています。今後、開発が進み、こうした航空事故が過去のものになる日もそう遠くないかもしれません。ですが、当面の間は、着席時はシートベルトをきちんと締め、頭の片隅に晴天乱気流の危険性を入れて行動することが大切なようです。
【了】
Writer: 赤川薫(アーティスト・鉄道ジャーナリスト)
アーティストとして米CNN、英The Guardian、独Deutsche Welle、英BBC Radioなどで紹介・掲載される一方、鉄道ジャーナリストとして日本のみならず英国の鉄道雑誌にも執筆。欧州各国、特に英国の鉄道界に広い人脈を持つ。慶応義塾大学文学部卒業後、ロンドン大学SOAS修士号。
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