「ドコモ系vsソフトバンク系」戦争終結? 異例の“シェアサイクル相互乗り入れ”へ “振替輸送”も構築!?
実際には非効率な「土地の取り合い」だった
両者の協業は、単にユーザーの利便性向上というだけではありません。「日本のシェアサイクルは用地確保が大変」だそうで、そこに大きなメリットをもたらします。
たとえば、自治体がシェアサイクル・シェアモビリティを導入するシーンで、「公有地をドコモ、ハローサイクリング、LUUPさんで単純にスペースを分けて並べることがある」(武岡社長)といいます。そのどれかのスペースが返却する自転車であふれていても、別のサービスの区画には返却できない、そうした「静的な分割は非効率」だと話します。
横浜市では、ドコモは都心と市中部、ハローサイクリングそれ以外の郊外というように、市の全域でエリア分けができているそう。
「実際ドコモの自転車のユーザーが、ハローサイクリングのポートのあるエリアまで来ていますが、現状、その間は延長料金で走り続けている」(武岡社長)とのこと。
一方で、ドコモとハローサイクリング、両方のアプリを入れている人は多いとのこと。それがくっつくので、利用は急激に伸びるのではないかといいます。
しかし今回は、相互利用の実施時期は「2024年度から25年度」、さらに「ひとつのエリアで実施して、しばらく様子を見ると思う」(武岡社長)などといい、大々的な広がりには含みを持たせました。
というのも、シェアサイクルは、返却された自転車を再配置したり、バッテリーを交換したりする裏方のオペレーションが支えているサービスであり、その効率が採算を大きく左右するといいます。相互でオペレーションを補完し合う関係も構築するものの、未知数の部分があるため、「ノウハウができて『いける』と思ったら」、スピード感をもってエリアを拡大したいということです。
ちなみに、欧米でシェアサイクルが「公共交通」として位置付けられていることも紹介されましたが、それもあってか、関係者からは今回の事例を「相互乗り入れ」などと、鉄道になぞらえる説明も聞かれました。「どちらか一方のシステムがダウンした場合に、もう一方のサービスを利用するといった“振替輸送”のようなこともできる」と話す関係者も。
両社は今回のポート相互利用の先に、サービス料金の統合を、もう一歩先の話として、両社が統合することも視野に入れています。
【了】
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