「月に一番近い」国はどこ? 無人機じゃダメ“有人着陸”へ競争過熱のワケ 「時代錯誤」の声も
再び人類は月へ降り立つか
アポロ15号は1971(昭和46)年8月1日、人類が月に達するまでの間に亡くなった宇宙飛行士たちを追悼する彫刻を月面に残してきました。その傍らには米8名とソ連6名の宇宙飛行士の名を刻んだ銘板も置かれています。
アポロ計画は当初、アポロ20号まで計画されていましたが、1972(昭和47)年12月11日に月面着陸したアポロ17号が最後になります。アポロ11号の頃の熱狂は消え失せ、米ソの関係もデタント(緊張緩和)時代に入ったことも関係しています。これ以降、月に人間は行っていません。
21世紀に入って月は新たなプレイヤーを迎えて再び競争の舞台になろうとしています。インドやイスラエルが探査機を送り込んでいますし、日本の月面探査機SLIMも話題になりました。
とりわけ存在感を増しているのが中国です。無人探査車を送り込み、土壌採取して帰還するサンプルリターンにも成功しています。有人月着陸計画も持ち上がっており、中国では嫦娥(じょうが:月の女神の意)計画と呼ばれます。
アメリカのアルテミス計画は、2030年代の有人着陸を目標としていますが、すでに宇宙探査は無人機時代になっており、リスクを冒してまで人を月に送り込むことは、60年前と変わらぬ時代錯誤の国威発揚以上の意味はないと冷めた見方もあります。1969年7月18日に用意されたスピーチが、幻のままであることを願いたいものです。
今年の7月20日は、日本の月の出は18時22分、月齢は14.2。晴れていれば、満月に近い月が見えるでしょう(満月は月齢15)。
【了】
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。
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