特急&新幹線よりも最短・最速・最安・最楽!? 旅行ミステリーに使えそうな「伊勢湾フェリー」とローカル線の実力

観光と実用を兼ね備えた航路

 出港すると、進行方向右側に坂手島が見えました。坂手布(さかてめ)と呼ばれるワカメが名物で、文豪・江戸川乱歩が「全国で最上級」と讃えたとのこと。さらに進むと、進行方向右手に海女の祭り「しろんご祭り」で知られる菅島、左手には九鬼水軍の本拠地だった答志島と、有人島群が姿を現します。さらに進むと、三島由紀夫の小説『潮騒』の舞台となった神島が進行方向左側に見えました。

 なお、伊勢湾は船舶の行き交う地域で、時間帯によっては太平洋フェリー(名古屋~仙台~苫小牧)とも離合します。乗船時も、貨物船が進行方向を横切っていきました。変化に富む風景を楽しむうち、9時10分に伊良湖港へ到着。ここのフェリーターミナルでも産物店やレストランが利用できます。

 ターミナルの前には豊鉄バスが停車。船からはすぐ近くで、最短5分の乗り継ぎダイヤに対応しています。

 ターミナルで食事し、9時45分発の豊鉄バスで田原駅前を目指しました。渥美半島を縦貫して走り、防風林や海沿いの景色、田原市の街中など、車窓は変化に富みます。田原駅着は10時40分。豊橋鉄道渥美線の終着駅 三河田原に隣接しており、2013(平成25)年に建てられた駅舎が綺麗です。

 10時47分に出発した豊橋鉄道の電車は元・東急電鉄の7200系で、1800系を名乗ります。各編成に花の名前がついており、ヘッドマークも掲出。100円で自転車を乗せられるサイクルトレインでもあり、自転車を乗せた利用者もいました。単線電化ですが、全16駅のうち8駅が列車交換可能で、15分間隔で利用客も多い鉄道です。車掌が乗務しており、駅ごとに車内を巡回するのは珍しい光景でした。

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豊橋鉄道(2024年7月、安藤昌季撮影)。

 新豊橋駅には11時22分着。JR豊橋駅や豊橋鉄道市内線の接続駅であり、多くの乗客が乗り換えていきました。「豊橋・鳥羽割引きっぷ」の利用客は、ほかにいないようでしたが、上手く組み込めば豊橋から鳥羽まで短絡でき、かつ船旅も楽しめる楽しいルートと感じました。

【了】

※半島名を修正しました(7月24日17時20分)。
※島名を修正しました(7月25日11時20分)。

【写真】追加料金で入る伊勢湾フェリー「特別室」とは

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

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4件のコメント

  1. 半島名間違ってます┐⁠(⁠´⁠ー⁠`⁠)⁠┌

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。

  2. 島の名称が間違っております。

    誤:出港すると、進行方向右側に板手島が見えました。
    正:出港すると、進行方向右側に坂手島が見えました。

    板→坂

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。