車内で泣いちゃう人がいる?「すごすぎて…」 人気列車の10年を支えた“尋常じゃないおもてなし” 背景にあった危機

JR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」が10周年を迎えました。乗車人数20万人を達成し、いまだ乗車率8割以上を維持している人気の秘密には、地域の“尋常ではないおもてなし”がありました。

おもてなしの背景にある“過去の記憶”

 沿線の“おもてなし”ぶりは尋常ではありません。通過するだけの駅や民家の軒先、営業中のガソリンスタンドでも、タヌキやピエロに変身した近所中の人たちが集い、花やオリジナルで作った旗やプラカードを持って、しかも笑顔で手を振ってくれます。

 これは、運行しているJRが演出で頼んだことではなく、四国独自のお遍路文化・おもてなし精神をもち、また、地域鉄道への存続意識が高い沿線住民たちが自主的に始めたものなのです。

 運行されている予讃線の海回り区間(伊予市-下灘-伊予大洲)は、1986年3月にそれまで枝線であった内子線を取り込む形でバイパス線(山回り)が開通し、メインルートから外れました。その際、今では絶景の観光名所ともなっている下灘駅を含め、この海回り線は廃止される計画があり、住民が存続運動に奔走した経緯があったといいます。

 毎年9月第1土曜日に実施され、夕日が沈む伊予灘を背景に下灘駅ホームをステージにして行われるプラットホームコンサートは1985年から始まったものですが、もともとは路線廃止反対運動の一環で地元有志が集まって「こんな素晴らしい路線を廃止にするのか」と抗議のコンサートを行ったことがきっかけだといいます。

 そのローカル区間を活かした観光列車が「伊予灘ものがたり」です。沿線では10年前から人々が“おもてなし”をずっと欠かさず続けているという地域もあれば、「あの地域に負けないお手ふりをして、お客さんに喜んでもらいたい」という地域もあり、おもてなしの輪が広がっていきました。

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「地元の方々に読んでほしい」と描かれた3号車のメッセージ(坪内政美撮影)。

 沿線住民に話を聞くと、「お手振りは、もう生活の一部。ないとさみしいくらい」とか、「伊予灘ものがたりの時刻が体内時計に組み込まれている。時間になると自然と手を振りに行くのが当たり前になっている」「お手ふりが1日4回、週末に走っているので旅行やお出かけもできない!」と苦言を呈しながら笑みをこぼす人も。

 ガラス窓一枚隔てていても、その向こうに笑顔があれば、不思議とそれは喜びに変わる――相手の笑顔が、もう一方の笑顔になり、まさに連鎖反応が起こっています。乗客のなかには、そのおもてなしに圧倒され、涙する人もいるほどです。

【おもてなし遅延が発生!?】10周年「伊予灘ものがたり」と沿線の“猛烈おもてなし”ぶり(写真)

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