岩手の「軍用フォルクスワーゲン」第二次大戦の激戦くぐり抜けた “歴史の語り部”だった! 当時の「古傷」は今も

歴史的大事件でパーツが入手しやすくなった

 第二次世界大戦中のドイツ軍用車両のパーツに関しては90年代から00年代にかけて、ある程度オリジナル部品が出回るようになり、レストアが比較的簡単になったと語っていました。ただ、それは国際的な情勢の変化が関係していたといいます。

「ソ連崩壊が、かなりドイツ軍パーツの流通増加に影響しています。旧ソ連領内には独ソ戦で使われ、ドイツ軍が放棄していった車両がかなりの数で残っており、それがソ連崩壊によって、ロシアを始め分離独立した各国が外貨確保のために売り払ったことで、かなり出回るようになりました。それでもジープなどよりは圧倒的に少ないですが」(山口さん)

 なお、公道で走らせるためのナンバーの取得には約5年かかったとのこと。同車は1942年製の車両として車検登録されているため、リアのテールランプが1灯だけでも問題ありません。ウインカーに関しては、実は手信号でもいいそうですが、安全性を考慮して後付けで明るく光るウインカーを装着しています。

「25馬力しかないエンジンですけど、軽快に動きます。故障防止も兼ねて定期的に公道を走っていますが、今まで警察に停められたことはないですね」(山口さん)

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車体のリア部分に設置されているフォルクスワーゲン製のエンジン(斎藤雅道撮影)。

 ちなみに、今回はさすがに会場が岩手県から遠く離れた千葉県ということでもあり、トレーラーに載せてきたそうです。2024年現在、山口さんは、ほかにも水陸両用の「シュビムワーゲン」や、後のビートルの原型にもなった「カーデーエフ(KdF)・ワーゲン」を所有しています。なお、これらもナンバーを取得済で、公道を自走できるとのことでした。

【了】

【生々しい…】これが、戦時中にできた弾痕を埋めた跡です(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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