「マジでここに大統領いたの!?」 巨大戦艦の食堂で名前がついた“意外な場所”とは 超大国トップの粋な計らい
アメリカ海軍のアイオワ級戦艦「ミズーリ」といえば、日本では終戦直後の降伏文書調印式の舞台になった艦として知られ、ハワイで現存しています。そんな「ミズーリ」の艦内で、気になるモノを発見しました。
戦艦「ミズーリ」で見つけた気になる看板
アメリカのハワイ州にあるオアフ島には、「世界最後の戦艦」として知られるアイオワ級戦艦の3番艦、「ミズーリ」が停泊しています。1944(昭和19)年に就役した「ミズーリ」ですが、さすがに未だ現役というわけではなく、1992(平成4)年に退役した後は1999(平成11)年より博物館として一般公開されています。事前予約制のツアーに参加すると、艦内の様々な場所を実際に見学することができます。
このツアーに参加した筆者は、艦内で気になるものを見つけました。それは、艦内ツアーの序盤で下士官食堂を見学していた際のこと。目の前に現れたとある看板が、思わず目に留まりました。
「TRUMAN LINE(トルーマンライン)」と書かれたその看板には、下に「今日のメニュー」の文字とともに、朝食、昼食、夕食の献立が記されています。どうやらこれは、下士官食堂で給養員が乗員の持参するプレートに食事を盛りつける場所を指しているようです。
一方、この「トルーマン」とは、1945年に第33代アメリカ合衆国大統領に就任したハリー・S・トルーマンのこと。なぜ、こんなところに大統領の名前が冠されているのでしょうか。じつは、これにはトルーマン大統領にまつわる「あるエピソード」が関係しているのです。
それは、1947(昭和22)年9月のこと。トルーマン大統領はブラジルのリオデジャネイロで開催された中南米諸国との会議を終え、アメリカへの帰路に就くため妻のベス・トルーマン夫人と共に「ミズーリ」へ乗艦しました。
このとき、トルーマン大統領夫妻は乗員らと食事を共にすべく、下士官たちに交じってこの給食の列に頻繁に並び、プレートに配膳を受けていたのです。これにちなんで、この場所はトルーマン大統領が並んだ場所という意味で「トルーマンライン」と名付けられました。
食堂という場所だけに、アメリカという超大国のトップとしてのトルーマン大統領の「器」がうかがい知れるエピソードを実感できる歴史的な場所といえるでしょう。
【了】
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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