30年ぶり! 海保最新のマンモス練習船がデビュー「異例の2段船橋」その内部は? 運用は教育訓練のほかにも

大規模災害時は救難船にも

「いつくしま」の高橋邦彰船長は、「航海計器や機関、通信機器は最新鋭のものを装備した。初代船長として乗り込むことは非常に気の引き締まる思いだ」と明言します。「9月から乗船実習が開始されるが、それぞれの寄港地で一般公開を予定している。多くの方に本船をご覧いただき、この船で実習してみたい、海上保安庁で働いてみたいという若い方がたくさん集まることを期待している」と話していました。

 外観で特徴的なのは上下2段に分かれたブリッジで、上部は航海船橋、下部は航海実習などの教育で学生らが使用する実習船橋となっています。同じ航海計器が据え付けられており、両方の船橋で操船することが可能です。航海船橋には日本無線(JRC)の、実習船橋は古野電気のレーダーなどが置かれていますが、「いつくしま」乗組員は「舶用メーカーとして圧倒的なシェアを誇る両社の機器の特性を学ぶため」と説明しています。

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壇上から式辞を述べる海上保安大学校の筒井直樹校長(深水千翔撮影)。

 実習船橋は短期間で効果的に乗船実習を実施するために航海科演習区画として設けられた設備です。通常の業務を行っている船橋と分けることで、航行中でも多数の学生・研修生が操船方法などを学べるようになります。さらにこれまで安全運航の都合上できなかった火災など緊急時の対応訓練にも、実習船橋は活用できます。

 このほか練習船の設備として訓練業務統括区画や通信科演習室、機関科演習区画が設けられている上、船尾側には船内で授業を行うための学生教室や、外国の港を訪問した際にレセプションなどを行える多目的室が置かれており、通常の巡視船に比べて船室が多くなっています。

 加えて災害発生時などは緊急的に海上保安業務に従事することを想定し、耐航性、動揺安定性、長期行動能力に優れた設計を取り入れました。武装として目標追尾型遠隔操縦機能(RFS)を備える20mm機関砲1基と13mm機銃1基を装備。ブリッジ側面には停船命令等表示装置を置き、高速警備救難艇4隻や救命艇2隻を搭載します。速力は20ノット(約37km/h)以上。推進器はプロペラだけでなく、細かい操船が可能なバウスラスターも装備しました。PLHのような見た目をしていますが、ヘリコプターの発着には対応していません。

【船内は?】最新練習船「いつくしま」最大の特徴 これが2段船橋の内部です(写真)

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