自衛隊の輸送船部隊「大拡充」なぜ? 民間船も巻き込み4年で一大勢力に “本気度”感じる驚きの計画

PFI船舶に自衛官が乗り込む想定も

 2024年現在、海上自衛隊には基準排水量8900トンのおおすみ型輸送艦が3隻ありますが、本土から離れた南西諸島へ地上部隊を機動展開させようとすると、数が足りません。さらに自前で船舶を調達し、維持・管理する場合、運航や整備などに従事する海上自衛官を増員し、所要の教育訓練を実施するとともに、個別の船舶について整備器材の確保も含めて、維持・管理を行う必要があります。

 一方で大型フェリーが数多く就航している民間の定期航路は、旅客と貨物の輸送がメインであり、船体整備やドック入りも含めて綿密な計画に従って運航しているため、自衛隊が使うには制約があります。

 このため、防衛省では大規模な海上輸送力を持つ民間フェリーを、有事や災害時には自衛隊が優先的に人員・装備品などの輸送に使用する契約を民間事業者と結んでおり、これがPFI船舶になります。

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令和6年能登半島地震に係る災害派遣で、七尾港に派遣された防衛省のチャーター船「はくおう」(画像:防衛省)。

 こうすることで防衛省・自衛隊は、南西地域への機動展開能力の強化を図っているわけです。ちなみに、2025年度概算要求で民間船舶をさらに確保する理由について防衛省は、「島嶼部等へ必要な部隊等を確実に輸送するため」と説明しています。

 なお、PFI船舶は民間船のため、運航するのは民間船員ですが、仮に有事が発生し民間事業者が運航できない状況に陥った場合には、防衛省が船舶そのものを借り受け、自衛官が乗り込んで、自衛隊として独自に船舶を運航できることになっています。

【広~い浴室も完備!】これがフェリー「はくおう」の船内です(写真)

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