「憂鬱でしょうがない」福祉タクシーでの突然の通院 寝たきり老人を老人が押して歩く現実 何かおかしくないか?

多様化するタクシーの利用に対応するサービスのひとつ「福祉タクシー」。完全予約制の運送が提供されますが、台数は増えているのに予約が難しかったり、家族に大きな負担がかかるケースもあります。福祉タクシーだけが孤軍奮闘では、老老介護は乗り切れません。

タクシー予約がとれず、診療を先送り

 障害者や要介護者を送迎する「福祉タクシー」は社会福祉的なイメージがありますが、タクシー事業と同じ国土交通省の担当で、「福祉輸送事業限定」で利用されているだけで、一般のタクシーと同じ旅客輸送です。全国的に台数はあるようですが、その利用者からは「タクシーが予約できないために通院日を延期した」という声が聞かれました。

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福祉タクシーで可能なのは通常、ストレッチャーの乗降まで(提供写真)。

 愛知県在住の62歳になる女性には、パーキンソン病で寝たきりの68歳の夫がいます。子どもはおらず2人暮らし。病気の進行が早く意思の疎通もしにくいため、いつもは施設で介護を受けています。そんな中で「骨折の疑いがある。紹介状を書くから病院で診察をしてもらってほしい」と、施設から連絡を受けました。

 パーキンソン病は指定難病の一つで、65歳以上では100人に約1人がかかるといわれています。女性は自家用車を持ち、クルマの運転をしていますが、すでに男性は寝たきりなので、自力では病院に連れていくことができません。

 定期的な通院では、一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)」を行う通称「福祉タクシー」、その中でもストレッチャーを積むことができる寝台車を指定しています。イレギュラーな通院も、同じようにできるものだと思っていました。

「でも、昨日はタクシー手配しても空きがないって、全部断られたの。夫が定期診断で使っている会社に頼み込んで、やっと来てもらえることになった。それで通院が今日になった」

 男性は身体がこわばったままで、ほとんど意識が混濁したままです。痛みを訴えることもありませんが、骨折の疑いがあるとされた上腕は、あきらかに腫れていました。検査設備がないと診断できないせいか、主治医の往診もないまま、送迎の当日を迎えました。

【めっちゃ増えてるのに】福祉タクシーの現状(画像)

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