御社も「クロネコヤマトみたいにしませんか」でEV化進む? “経験”を売る新ビジネスの大いなる“狙い”

汗した“経験”を売る

 多くの類似商品は、車両製造や資金提供など供給側からの提案ですが、オートワークスはヤマトグループのユーザーとしての経験を商品に盛り込み、エンジン車からEV車への単なる転換との差別化を計ります。

「EVトラックのユーザーとしてのヤマト運輸、ヤマトグループの立場で申し上げると、(車両)メーカーにはないきめ細かな気付きとサービスがある。例えば、EV車両に転換した時の実際の走行距離はどのくらいなのか。ドライバーの不安、不明点、使い方、日常点検の方法までヤマト運輸で培ったノウハウが提供できる」

 また、車両のEV化と共に、再エネ電力の供給についても、同様のノウハウ提供を強調します。

「オートワークスは3年間で2300台のEV供給、200-300拠点に充電設備を設置し、本当に汗をかいて大中小、いろんな現場の課題をクリアしながらここまできた。今は1日の長があると思っている。これを活かしてスピードをあげてサービス展開を図りたい。(目標)3000台は最低限やらなくてはならない」(ヤマト運輸モビリティ事業推進部・上野公部長)

 芙蓉総合リースはヤマトリースの筆頭株主であり、同社独自に出資を通じた商用EVの導入、パートナー企業との提携による充電インフラの提供を推進しています。EVリースの実績をオートワークスのパッケージ商品に活かすことで「より全国規模の幅広いサービスを提供することが可能になる。エネルギーマネージメントの幅も広がる」(藤崎眞理常務執行役員)。

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ヤマトHDと芙蓉総合リースが発表した「EVライフサイクルサービス」発表会(中島みなみ撮影)。

 政府は2030年までにGHGを対2013年比で46%削減し、2050年までのカーボンニュートラル実現を掲げています。その過程では、商用小型車の新車販売で2030年までに電動車20-30%、2040年までに電動車など脱炭素燃料車100%が目標とされ、エンジン車の選択は狭まっていく方向です。

 EVの普及にブレーキがかかっていると言われる中でも企業の脱炭素は重要な経営課題です。複雑なGHG削減目標の達成がビジネスチャンスになっています。

【了】

【初代と微妙に違う!?】これがEV時代の「新クロネコマーク」です(画像)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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