単なる演出じゃなかった! 潜水艦の「赤い照明」なぜ? ゲーミングPCみたいな光に隠された“ガチすぎる”理由
映画『沈黙の艦隊』などで、潜水艦内が真っ赤な光に包まれるシーンを見たことはないでしょうか。不気味な演出に思えますが、実は合理的な理由があります。その秘密とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
潜水艦が戦闘時や夜間に「赤い照明」になるリアルな理由
潜水艦を舞台にした映画やドラマでは、戦闘中や夜間に艦内が赤い照明に切り替わるシーンがよく描かれます。
こうした描写はフィクションの演出に限らず、実際の潜水艦でも採用されている運用です。その最大の理由は、人間の目が暗闇に慣れる「暗順応(あんじゅんのう)」という状態を維持することにあります。
私たちの目が暗い場所で物が見えるようになるには、網膜にある視物質「ロドプシン」が蓄積される必要があり、これには一定の時間が必要です。もし明るい光を浴びてしまうと、この暗順応の状態が損なわれ、再び目が慣れるまでに長い回復時間を要してしまいます。
ここで重要なのが、赤い光の特性です。ロドプシンは長波長側、つまり「赤い光」に対する感度が低いとされており、赤い照明は暗順応の状態を乱しにくいと考えられています。
これを利用することで、乗員は手元の計器を確認する作業をこなしながら、同時に潜望鏡などで“暗闇を見通す視力(夜目)”を維持することを両立させているのです。
また、水中における光の物理的な特性も関係しています。海中において、赤い光は水分子に吸収されやすく、ほかの色の光に比べて減衰が早い(遠くまで届きにくい)という性質があります。
そのため、光学機器を扱う場面で、万が一艦内の光が外へ漏れてしまったとしても、周囲から発見されにくくする効果があると考えられます。ただし、赤い照明がそのリスクをどの程度低減するか、あるいはステルス目的として意図的に運用されているかについては、公開されている資料の範囲では確認できていません。
こうした“夜目の維持”という工夫は、潜水艦以外の分野でも見られます。夜間飛行を行う航空機のコックピットや天体観測など、外の暗闇と手元の計器類を見比べる必要がある現場では、暗順応に配慮した赤い照明設計が採られることがあります。
SNSなどでは艦内の赤い照明に対し「ゲーミングPCみたいでかっこいい」といった声も見受けられますが、その背景には、過酷な現場で人間の能力を最大限に引き出すための合理的な設計思想があるのです。





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