ムフフ♪「ラブラブトンネル」実は旧日本軍の“要塞” いろいろな意味で生々しいその痕跡
コウモリの洗礼!そこに書いてあった“文字”とは?
少し離れた場所には、旧日本軍の司令室があったという小さなトンネルがありました。
このトンネルもまた山間部に突如姿を見せ、孟さんは内部へどんどん進んでいきます。正直怖く感じもありましたが、筆者もその後ろに着いていくことに。
トンネルの内部は各所に道がありました。司令室はこの一角に設置されていたようですが、なにしろ暗く、そして半円形の天井には複数のコウモリがいます。孟さんは「コウモリ、かわいいですね」と笑っていましたが、筆者には全くそうは思えません。
トンネル内をしばし進むと途中で直角に曲がる角があり、さらにその先を進むと、トンネルの別の出口に出られました。そこには「情人洞」と誰かが書いた文字があります。
直訳すると、「恋人の洞窟」。孟さんに尋ねると、「ラブラブトンネルという意味です」と言います。
なんでも地元っ子カップルの間では度胸試しや、わざと怖い場所で愛を深めるためにこのトンネルに訪れるケースが多くあり、思わぬラブラブスポットにもなっているのだそうです。
ここが環太平洋の戦略拠点だった
旧日本軍がこの寿山に高雄要塞を最初に設置したのは1937(昭和12)年。当初は三級要塞だったところ、太平洋戦争勃発後には、ここ高雄が環太平洋の戦略的な重要拠点になり一級要塞に昇格したと言われています。
山中の各所には立派なかまどの跡などもあり、旧日本軍が相当な力を込めて高雄要塞を作ったことも伝わってきました。
ただし当時は、一般に発表されることがなく地図などにももちろん載っていませんでした。このような情報制限があったことも多くの日本人に知られておらず、結果的に今もひっそりと寿山の山中に手付かずに遺り続ける理由の一つかもしれません。
高雄各所にはこの他にも旧日本軍の遺構が遺り続けています。状況はさまざまですが、当時の様子を実際に目にすると深く感じ入るものがあります。機会があれば各所の遺構にぜひ訪れてみてください。
【了】
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
コメント