「まだ特急が“縦列駐車”してる!?」 71年ぶり新装の「松山駅」 高架になっても“珍風景”だらけ!?

ホームの珍風景も健在!? 高架化したばかりの松山駅

 朝6時10分、7000系を使った試運転列車が行われたあと、1番営業列車となった岡山行き特急「しおかぜ6号」と併結の高松行き特急「いしづち6号」が発車3分前に入線、定刻となる6時13分に慌ただしく発車し、新たな松山駅のスタートを切りました。

 さて、松山駅の外観自体は、きのうまでの地上駅時代とパッと見変わりありません。とはいえ、駅窓口に人気はなく、改札口はすべて撤去されています。

 ただ、駅の中は全国唯一の“特急列車の縦列停車”が展開されていた1番線や、対面の2番線を大胆に跨ぎ、3番ホームを経由して新駅のコンコースへ通り抜ける渡り廊下が一夜のうちに設置されていました。手すりのみが設置された廊下が新設された以外は、普段の駅構内、線路もそのままです。この不思議な光景を撮影しようと、足を止めて写真を撮影する人などで混雑していました。

 地上駅の施設や線路は今年度中に撤去される計画で、まさに今しか見ることのできない「珍風景」です。11月4日に行われる地上駅のお別れイベントでは、掲げていた駅看板などを購入したり、敷石を持ち帰ることができたりするということで、今から楽しみです。

え、「縦列停車」してるじゃん…

 さて注目のプラットホームは3階です。これまでの2面3線から2面4線へと拡大し、普通列車や観光列車「伊予灘ものがたり」が発着する3・4番と、特急列車を中心に発着する1・2番線が新たに設けられました。

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メイン口となる西口の目の前は旧3番ホームが立ちふさがるシュールだ(坪内政美撮影)。

 これまで、同一の番線に“縦列停車”して連絡していた高松・岡山方面の電車特急「いしづち・しおかぜ」と宇和島方面に向かうディーゼル特急「宇和海」は、別々の番線に発着し、同一ホームによる対面乗り換え可能になりました。これにより乗り換え時分の短縮が実現したそうです。

 ただ、特急の“縦列停車”そのものは、新駅になっても実は健在です。

「いしづち・しおかぜ12号」(9時15分発)と「宇和海7号」(9時07分発)は、1番線で縦列停車を行っています。これはホーム使用状況の都合によるもの。消滅したと思われていた名物も、偶然ながら継承されました。

【了】

【ぜんぶ撮った!】「松山駅」地上最後の日&高架最初の日(写真60枚超)

Writer: 坪内政美(スーツの鉄道カメラマン)

1974年生まれ、香川県在住。いつでもどこでもスーツで撮影に挑む異色の鉄道カメラマン・ロケコーディーネーター。各種鉄道雑誌などで執筆活動をする傍ら、予土線利用促進対策協議会のアドバイザーやテレビ・ラジオにも多数出演するなど、鉄道をワイフワークに活動している。著書に「鉄道珍百景」「もっと鉄道珍百景」「駅スタンプの世界」「100万キロを走ったセドリック」(いずれも天夢人刊)がある。

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