もう「青春18きっぷ」にこだわる必要なし? リニューアルで優位性に暗雲 使い勝手やコスパは別きっぷで勝負できるぞ!

「青春18きっぷ」にこだわらなくても…

 さらに10月29日には冬季の「北海道&東日本パス」の発売も発表されました。エリアがJR北海道とJR東日本に制限されるものの、価格や効力では新しい「青春18きっぷ」を上回るのでは、とも思えます。以下、比べてみます。

青春18きっぷ/北海道&東日本パス
・有効期間:連続する5日間or3日間/連続する7日間
・北海道新幹線の利用条件:オプション券4500円・新青森~木古内/特定特急券4000円・新青森~新函館北斗
・第三セクターの利用:一部の通過特例のみ可/青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道・北越急行
・値段:1万2050円(5日間)・1万円(3日間)/1万1330円
・1日あたりの値段:2410円(5日間)・3333円(3日間)/1619円
・利用可能エリア:全国/JR北海道・JR東日本エリア

「北海道&東日本パス」は7日間連続と聞くとかなり長期にも感じますが、逆にがっつり冬休みをとって鉄道で旅行しよう!という場合には絶大な効果を発揮してくれるでしょう。

 また、九州エリアには「旅名人の九州満喫きっぷ」という乗り放題きっぷが存在します。「青春18きっぷ」同様、普通・快速列車のみ利用可能ですが、私鉄、第三セクター、市電なども含めた九州内の全鉄道が乗り放題。有効期間は3か月で、任意の3日間利用可能、さらに複数人での利用もOKという、これまでの「青春18きっぷ」のメリットもあわせ持っています。

 しかも通年で発売、通年で利用可能なので、例えば冬休みの12月下旬に使って、また3月下旬に使うということもできます。これもエリア限定とはいえ、使い方次第では大きな魅力を秘めています。

「青春18きっぷ」はリニューアルによってメリットがかなり弱くなってしまった印象がありますが、北海道新幹線オプション券の区間拡大により乗り継ぎが改善され、北海道の稚内から鹿児島の枕崎まで5日間で縦断することが可能になりました。

 ただし5日間「連続」で、ひたすらほぼ始発から終電近くまで列車に乗り続けることになるため、途中で観光や休息の日を挟むこともできません。ひたすら「乗るため」のきっぷになった「青春18きっぷ」、その意味合いを最大限に活用する……といえば聞こえは良いですが、現実にはあまり実用的なきっぷではなくなってしまったのかもしれません。来春以降も同様の内容となるのか、気になるところです。

【了】

【比較】これが「青春18きっぷ」と他のフリーきっぷとの違いです(表)

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Writer: 和田 稔(鉄道ライター)

幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。

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