「指定席を取った列車に乗り遅れた」←どう対応すべき? 買い直す必要はある? 知っておきたいきっぷのキホン
旅行や帰省などで新幹線などを利用するとき、万が一乗り遅れてしまったら、きっぷをすべて買い直す必要はあるのでしょうか。痛い出費を抑えるために知っておきたいきっぷの知識を紹介します。
乗り遅れた場合、「特急券」は流用できる
では、予約した列車に乗り遅れた場合、きっぷはどうなるのでしょうか。結論からいうと「(ほぼ)無効にはならず、後続列車にも乗ることが可能」です。
まず、乗車券は予約した列車でなくても有効期間内であれば使用できるので、絶対に処分しないようにしましょう。たとえば、東京~名古屋間のきっぷを購入して東海道新幹線「のぞみ」に乗る予定だった場合、乗車券はその区間の移動に使い続けることができます。
次に指定席特急券は、乗り遅れたとしても払い戻しできません。また、後続列車の指定席に振り替えることも不可能です。
しかし、同じ日の後続列車の自由席に限り、手持ちの指定席特急券で乗車可能です。例えば「のぞみ」の指定席に乗り遅れた場合、同日の後続列車の「のぞみ」自由席であれば、そのまま乗車できます。再び指定席に座りたい場合は、改めて指定席特急券だけを購入する必要があります。
東北新幹線の「はやぶさ」や北陸新幹線の「かがやき」など、一部の新幹線は全車指定席となっています。この場合も後続列車への乗車が可能ですが、空いている席があったとしても着席できず、デッキや通路に立った状態で乗車する「立席」での利用になります。
「のぞみ」も3大ピーク期(ゴールデンウィーク、お盆、年末年始)には全車指定席になりますが、「はやぶさ」などと同様に立席で乗車するか、後続の「ひかり」「こだま」が使用できるようです。
一方、JRの在来線特急列車でも、同じようなルールが適用されます。たとえば「踊り子」や「成田エクスプレス」など全席指定列車の場合も、後続列車の立席を利用可能できるほか、空席がある場合は座ってもOK。ただし、「サフィール踊り子」など、一部のプレミアムな列車では立席や空席の利用ができないケースもあります。
困ったら慌てないで、駅員さんに聞いてみて
指定席特急券は、自由席特急券の料金に530円を加えた価格設定になっています。したがって、指定席を利用できなかった場合、この差額分が「損」になりますが、自由席や立席での利用は可能なことが多いので、完全に無駄になるわけではありません。
乗り遅れた場合、焦ってしまい、「すべてのきっぷを買い直さないといけない!」と早合点してしまうかも。旅客機や高速バスなどは利用区間ごとに運賃が決められているので、鉄道も同じルールと思いがちですが、そもそも鉄道はきっぷの仕組みがほかの交通機関とは異なるのです。鉄道利用の際は、こうした仕組みを理解しておくと安心です。なお、早割で購入したきっぷなどでは、このような救済措置が利用できないケースがあります。
残念ながらトラブルが起きたら駅員さんに相談しましょう。そのほうがスムーズに対応できます。
Writer: 水野二千翔(高円寺工房/モビリティライター)
レイルウェイライター種村直樹氏に憧れ鉄道・バスライターを志す。これまで「バスマガジン」や「Rail Magazine」で執筆。現在はモビリティ全般に興味を広げ、ドローンや空飛ぶクルマの記事も。国家資格「一等無人航空機操縦士」所持。近著に「ドローン3.0時代のビジネスハック」ほか。
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