「真っ黒タイヤ売れません!」白ライン入りは苦渋の選択!? メーカーの知られざる葛藤とは
現在では「タイヤ=黒」というのが常識ですが、20世紀初頭の頃は「タイヤ=白」が当たり前でした。なぜ白いタイヤは見かけなくなったのでしょうか。実は今でも面影を残すタイヤもあります。
昔は「黒いタイヤ」は売れなかったってホント!?
ところが、それまで「タイヤは白いもの」との常識に囚われていた当時のユーザーからすると、黒一色のタイヤはどうも馴染めなかったようで、発売当初は売れ行きが伸び悩んだそう。
そこでメーカーは白黒ハッキリつけるのではなく、折衷案としてトレッド(接地面)は耐久性・耐摩耗性に優れる黒いゴムを使い、タイヤウォール(タイヤの側面)には人々が見慣れた白いゴムを組み合わせた「ホワイトウォールタイヤ」を発表します。
この製品は黒いタイヤよりも高価だったにもかかわらず、発売されるや否や大変な売れ行きを見せ、タイヤの変遷期となった1930~1950年代初頭に大いに人気を博しました。
しかし、人々が黒いタイヤを見慣れてきたこともあり、1950年代の終盤になると「ホワイトウォールタイヤ」は徐々に人気を失いました。それに代わって登場したのが、タイヤ側面に約1インチ(2.54センチ)のストライプが入った「ホワイトリボンタイヤ」で、高級車を中心に世界の多くのクルマが採用します。
また、1970年代に入るとタイヤメーカーのブランドロゴを白いゴムで整形した「ホワイトレタータイヤ」が、スポーツカーやクロスカントリー4駆向けのタイヤを中心に流行しました。
このようなファッション性を重視したタイヤはアメリカ市場での人気が高く、1990年代までアメリカ車の新車装着タイヤとして採用が多かったのですが、日本やヨーロッパ市場ではタイヤの見栄えよりも性能向上を求めるユーザーの声が大きく、1980年代までには市場からほぼ姿を消しています。
こうした流れから、現在では「ホワイトリボンタイヤ」や「ホワイトレタータイヤ」を純正装着しているクルマは存在せず、クラシックカー用のリプレイス製品を除くと、ミシュランやブリヂストン、グッドイヤーなどといった主要メーカーの製品ラインナップからは姿を消しています。
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