遂に消滅!「日本のトロリーバス」でも今も現役の街あります トラブルも「ならでは」で楽しい!?
日本では山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」(富山、長野両県)に残っていた唯一のトロリーバスが運行を終えましたが、海外では活躍を続けている都市があります。中でも北米には幅広い路線が走っている地域があります。
日本ではラストラン、でも海外は都市部で存続
日本で唯一運行していた立山黒部貫光(富山市)のトロリーバスが2024年11月30日、営業運転を終了しました。日本で最初のトロリーバスが営業運転を始めたのは1928年のこと。それ以降、約96年間にわたる我が国のトロリーバスの歴史が、今回の運転終了によって幕を閉じたことに対し、残念がる声がSNSなどを中心に出ています。
トロリーバスは屋根に取り付けた棒状の集電装置「トロリーポール」を使い、空中に張ったトロリー線(架線)から電気を取り込んでモーターで走ります。
走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないため、環境性能に優れているのが特徴です。前出の立山黒部貫光のトロリーバスは、立山の主峰・雄山(標高3003m)の直下を貫通する「立山トンネル」の室堂~大観峰間、約3.7kmを結んでいました。
この立山トンネルを含む「立山黒部アルペンルート」は、ほぼ全区間が中部山岳国立公園内のため環境保全が必要で、以前は立山トンネルだけでなく、扇沢~黒部ダム間の関電トンネル(6.1km)でも1964年から2018年までトロリーバスが走っていました。
ただ、こちらは2019年以降、同じく走行中にCO2を出さない電気バスに切り替わっており、このたび営業運行を終えた立山トンネルについても2025年からは電気バスが導入されます。
トロリーバスのルーツはドイツで、1882年に試験運行が始まっています。その後日本を含む世界に普及しました。我が国では路面電車より安く建設できることが追い風となり、高度経済成長期の昭和30年代には東京都や横浜市、大阪市などの大都市で見かける公共交通機関にまで成長しています。
しかし、モータリゼーションを背景にした道路渋滞で定時運行が難しくなり、加えてディーゼルバスの性能向上にも押される形で、昭和40年代に入ると一転して廃止が相次ぐようになりました。そして、1972(昭和47)年に横浜市から消えたのを最後に、我が国の都市部からは一掃されてしまいました。
このように、日本では過去の乗りものという印象の強いトロリーバスですが、海外ではいまも都市部の交通インフラのひとつとして存続しています。
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