遂に消滅!「日本のトロリーバス」でも今も現役の街あります トラブルも「ならでは」で楽しい!?
乗車中に起きた突然のアクシデント
一方、1935年に営業運転が始まったのがサンフランシスコです。運行しているサンフランシスコ市営鉄道(MUNI)は2023年時点で運用可能なトロリーバスを278台抱えており、MUNIは「私たちは北米の公共交通機関で最多のトロリーバスを保有している」と豪語しています。
ちなみに、アメリカ公共交通協会(APTA)によると、MUNIの2023年のトロリーバス累計利用者数は4224万人と、北米最大でした。
MUNIは将来のCO2排出実質ゼロに向けたゼロエミッション化で「トロリーバスは極めて重要な役割を果たす」と指摘。トロリーバスを「将来は一部延伸することが約束されている」と、拡充に前向きな姿勢を示しています。
筆者は、このMUNIで印象的な思い出があります。2015年4月の夜の乗車中に突然、車内が真っ暗になって止まりました。トロリーポールが架線から外れたのです。
運転手は舌打ちをすると前扉を開け、トロリーポールを架線に当てるために長い棒を抱えて車外に出て行きました。作業を終え、運行を再開するまで5分近くかかりました。
もっとも、MUNIのトロリーバスは、その後ニューフライヤー製の新型車両に更新されています。筆者が乗った古い車体は姿を消していることから、現在はトロリーポールが架線から外れるトラブルは発生しにくくなったかもしれません。
サンフランシスコとシアトル、バンクーバーにはいずれも直行航空便が日本と結んでいます。これら3都市に足を運べば、日本では体験できなくなったトロリーバスに乗車することはまだまだ可能です。
ちょっとしたトラブルすら楽しめるかもしれない、歴史ある公共交通機関を体験するために訪れてみてはいかがでしょうか。
【了】
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。
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