VIP乗車の初列車故障 日本の新幹線は“持っていた”?

新幹線は“持っていた”?

 最初の新幹線である東海道新幹線は、実は開業前の試運転でトラブルが頻発。1時間以上の遅れや運休が毎日のように発生していました。

 そして、関係者が「せめて初列車だけでも正常に」と祈りながら迎えたという1964年10月1日の開業当日。初列車がついに走り出します。

 すると開業前のトラブルが一転して落ち着き、初列車は定刻に終点へ到着。須田寛『東海道新幹線 50年』(交通新聞社)によると、「初列車が定時に到着したと知らされると、徹夜待機の関係者からどよめきと拍手が湧いた」といいます。

 結局、東海道新幹線の開業初日は一部列車に途中遅れが発生したものの、全60本の列車が定刻に終着駅へ到着。開業前のトラブル頻発がウソのように、3万6128人の乗客を無事に運ぶことができました。新大阪駅から東京駅への初列車を運転した大石和太郎さんは2014年、毎日新聞のインタビューに「試運転ではトラブルが続き周囲から良いことは何も言われなかったが、開業初日は問題なかった」と述べています。

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東海道新幹線東京駅の通路にある記念碑。「東海道新幹線 この鉄道は日本国民の叡智と努力によって完成された」とある。

 関係者の不断の努力によってそうなったのは言うまでもありませんが、トラブルの多発した開業前の状況。にもかかわらず、無事に終わった初日。現代のメディアなら「新幹線は“持っている”」と表現するかもしれません。

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コメント

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1件のコメント

  1. 「車内の乗客に一人の死者もなく」というのは、乗客による事件があった以上あまりよくない記述じゃないですかね。
    「運行上の問題に起因する死者0」ならば、ドア〆時に離れなくてドアに挟まれたまま列車が発車して引きずられた事件も、飛び込みも、乗客が起こした事件も該当せず、その当たりに触れない、つまり変に問題をほじくらない言い方になったと思いますが。