青春18きっぷ 「薩摩守」に要注意

不正乗車と縁が深い平家の武将

 ちなみに不正乗車のことを「キセル」といいますが、その語源をご存じでしょうか。

 例えばA駅→B駅→C駅→D駅と移動するとします。そこでまず、A駅の改札をB駅まで有効のきっぷで通過。そしてそのまま乗り続け、C駅からD駅まで有効のきっぷでD駅の改札を通過。B駅→C駅間は有効なきっぷを持たず乗車しました。

 この場合、改札を入るときと出るときだけ金を使い、その途中では金を使っていません。喫煙具のキセルも、その両端部分だけ金属を使っています。よってこうしたタイプの不正乗車を「キセル」と呼ぶようになり、そして広く不正乗車についても「キセル」と呼ぶようになった、といわれています。

 また無賃乗車について、「薩摩守(さつまのかみ)」と表現することもあります。これは平清盛の異母弟、平忠度(たいらのただのり)の官名が「薩摩守」だったことが由来。つまり「無賃乗車」→「ただ乗り」→「平忠度」→「薩摩守」です。ただ乗りを試みる『薩摩守』という狂言も存在することから、古くからこの言い回しが使われていた可能性もあります。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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5件のコメント

  1. それを言ったらいまどき「キセル」もないだろう

  2. ズバリ言うと、これは乗客に使えないと呼びかける以前に、北越急行や第三セクターでも使えるような新しい青春18きっぷを発売すべき、新幹線開通前は在来線で使えた区間など特にそう思う利用者は多いのではないか、それが出来ないなら、両端駅の一駅間だけでも車掌乗務させ料金徴収すべきでは、と思うが如何でしょうか。

  3. 一時、JR加古川線で走っていたラッピング列車は地元出身の世界的グラフィックデザイナー・横尾忠則氏のデザインだった。芸術性はともかく、列車に「ただのり」は良くないなと思ったものだった(笑)

  4. 一部3セクの通過利用ちゅうのはあるけど、金とかどうしてるんやろね?
    一律でなんぼか渡すんかなあ。ただもらいなんかもあるんかな。