JR北海道「DMV」導入断念 全国へ広がる波紋

全国へ広がるDMV導入断念の波紋

 DMVを開発していたJR北海道がその導入を断念することの波紋は、北海道以外へも広がりそうです。

 線路も道路も走れるDMVは、例えば郊外から線路を走ったのち、市街地へ入ったところで道路に移動。繁華街や病院などへ直行する、といった使い方ができます。そのため経営難に悩む日本各地のローカル鉄道から、その窮状を救う一手として注目されていたのです。

 2013年7月5日に行われた国土交通省の「DMVの導入・普及に向けた検討会(第3回)」では、青森県の津軽鉄道、岐阜県の明知鉄道、徳島・高知県の阿佐海岸鉄道、熊本県の南阿蘇鉄道といったローカル鉄道、また関係各県市の担当者が参加。DMVはJR北海道が開発していたものですが、それにかける期待という意味では、JR北海道だけのものではなくなっていたのです。

 津軽鉄道には、同鉄道と青森県内に設けられる北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅を、DMVを使って連絡する構想があります。今回、JR北海道がDMV導入を断念すると朝日新聞が報道する少し前の2014年9月3日、「DMVは輸出もできる技術。国家プロジェクトとして開発すべき」という津軽鉄道社長の発言を北海道新聞が伝えました。そのためたとえJR北海道が導入を断念したとしても直ちにその火が消えるのではなく、実現に向けた何らかの動きが模索される可能性があります。

 ただDMVには、現状で主に次のような課題があるとされています。

・燃料の軽油に課税される軽油取引税は道路整備が目的のため、鉄道で使う軽油は非課税になる。しかし線路も道路も走るDMVでは扱いが難しい。
・運転士が鉄道用の動力車操縦者免許と合わせ、バス用の大型自動車第二種運転免許を取得する必要がある。
・従来の鉄道用信号設備ではDMVに対応できないため、信号設備の改修が必要。
・車重が軽いため積雪によっては脱線する可能性。
・定員が少ないため、ローカル線でも通学客の多い朝夕の時間帯は使用が難しい。
・廃線跡をバス専用道にする「バス・ラピッド・トランジット(BRT)」、または路線バスといった低コストな方法で十分な可能性。

 DMVの導入断念と、新型特急車両の開発中止。現状と向き合いその不名誉を選んだJR北海道の決断。それが評価される日の来ることを願うばかりです。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

2件のコメント

  1. DMVは、ローカル線だけに限らず、都市部でも使い道があるとおもいます。
    路面電車とバスの相互乗り入れという手法で、都市を活性化させるのも一つの手法だと思う。
    一例として、東京の池袋駅から充電式バスを走らせ、サンシャイン60の近くで、都電荒川線の軌道を走り、
    王子駅前付近とか熊野前で一般道路へ降りて、東京都北区の豊島5丁目団地までの路線とかを走らす。
    あるいは、渋谷駅からバスを走らし、東急世田谷線の軌道を走り、下高井戸とか、途中の上町で世田谷通りを走り、
    東京農業大学までDMVを走らすという考えです。

    実際に、名古屋市守山区では、ガイドウェイバスというのをやっているので、その考え方と取り入れるのです。
    都市部近郊で、この考え方が役に立ちそうな区間として、
    南海和歌山港線の終点から和歌浦までの景勝地へ走らす路線とか、
    大阪の阪堺線とバスの乗り入れも視野に入れるといい。
    この場合、バスはすべて電気式でいい。

  2. もう一つは、貨物列車のDMVというのがあってもいいとおもっています。
    貨物列車というと、コンテナが主流になっていますが、コンテナでさえも、駅に到着して、フォークで横持ちをして、
    また、コンテナを積載できるトラックに積ませるという作業が必要になります。
    旅客は歩くことができますが、貨物は必ず「積み替え」という作業が発生します。
    これはDMVと言っていいかどうかは不明ですが、
    大井ふ頭などで、海上トレーラーなどが多数います。これをトレーラーシャーシー毎線路に乗せて機関車で引っ張り、地方の中規模な駅についたら順次トレーラーを切り離しで、そこで待機しているトレーラーヘットにひかれて一般道に走る。
    これであれば、トレーラーヘットの運転士が、わざわざ東京まで海上トレーラーをとりに行く必要がなくなる。
    もう一つの方法としては、DMVトラックを幹線輸送に役立出る方法で、
    宅配便や路線会社のDMVトラックを連結して、出力不足を補うため、電気機関車を連結して東京から大阪までとか主要都市を走らすというものです。
    ここでは、DMVトラックは電気自動車として電気機関車と協調運転を行い、速度も130kmくらいだせるトラック電車で速達性を高め、トラlック運転士の不足を補う。これはまた、長距離高速バスにも適用できるとおもう。