インフレ 国鉄の赤字 運賃で見る新幹線50年

値下げされた東海道新幹線

 1987(昭和62)年4月1日、国鉄が分割民営化されJRになりました。そして実はこれ以降、従来のような形での値上げは行われていなかったりします。

 1989(平成元)年4月に運賃8340円、料金5140円の合計13480円へ値上げされますが、これは消費税3%の導入によるものです。

 1992(平成4)年、東京~新大阪間の所要時間を一気に30分近くも短縮する速達形列車「のぞみ」が登場。これに乗車する場合は東京~新大阪間で特急料金に950円が上乗せされ、運賃8340円、特急料金6090円の合計14430円になります。値上げといえば値上げですが、大きな付加価値を考えると単純にそうとは言えないでしょう。また「ひかり」の場合は従来と変わりません。

 1997(平成9)年、消費税が5%に上がったことで運賃が8510円、特急料金が6210円(「のぞみ」付加料金970円を含む)の合計14720円に上昇。これが東海道新幹線の歴史で最高額になりますが、この年の「1人あたり月間現金給与額」も421400円と史上最高なことから、割合は3.5%と低めになっています。

 そして2003(平成15)年10月、「値下げ」が行われています。運賃と「ひかり」「こだま」の特急料金は変わりませんが、ダイヤ改正で東海道新幹線が「のぞみ」中心のダイヤへ移行。これに伴い「のぞみ」指定席利用の場合に必要な付加料金が300円に値下げされ、運賃8510円、特急料金5540円の合計14050円になったのです。また「のぞみ」自由席利用の場合は付加料金が発生せず、「ひかり」「こだま」と同じ金額が設定されました。

 2014(平成26)年4月、消費税が8%にアップしたことにより、現在の運賃8750円と特急料金5700円、合計14450円になっています。

 以上、ここでは最速列車の指定席で比較してきましたが、「のぞみ」自由席や「ひかり」「こだま」の運賃・料金で比較した場合、1986年に行われた国鉄最後の値上げを最後に28年間、東海道新幹線は消費税分しか値段が変わっていないことになります。

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「1人あたり月間現金給与額」に占める東海道新幹線の運賃・料金の割合。1966~1969年はデータ無し。

 また、2014年の「1人あたり月間現金給与額」は出ていないため2013年で比較しますが、その年の「1人あたり月間現金給与額」は358000円、運賃・料金の合計は14050円で、割合は3.9%。実は昭和50年代に物価上昇と国鉄の赤字問題から値上げをくり返した当時から、新幹線の運賃・料金は結果的に「1人あたり月間現金給与額」の3.5~4%という一定の「相場」を保っていることがわかります。

 現在、建設が始まろうとしているリニア中央新幹線について、その品川~大阪市間の運賃・料金は15050円が想定されています。この15050円が「1人あたり月間現金給与額」の4%に収まるには、「1人あたり月間現金給与額」が376250円以上必要です。しかし2013年のそれは358000円であるため、割合は4.2%になります。2045年に全通とされるリニア中央新幹線。そのときはたして、日本の物価とその賃金はどうなっているでしょうか。現在の新幹線と同じ感覚で、リニアを使えるのでしょうか。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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